相楽中部消防組合が改正健康増進法に対応遅れ

相楽(そうらく)中部消防組合は京都府南部の木津川市、笠置(かさぎ)町、和束(わづか)町、南山城村の1市2町1村を管轄する消防組合である。

相楽中部消防組合の庁舎は出張所を含め、改正健康増進法における第1種施設(特定施設)に分類され、2019年7月1日からは原則敷地内禁煙が義務付けられた。

しかし、山城出張所では7月1日を過ぎても車庫内に灰皿が設置され、改正法への違反が見られた。

総務課に聞くと「施行期日に間に合わなかった」との回答。改正法への対応が完了したのは8月末のことであった。

経緯

2019年

  • 7月1日 総務課より各所属長へ事務連絡
  • 7月29日 消防長へ結果報告
  • 8月29日 消防長へ結果報告(2回目)

相楽中部消防組合

木津川市笠置町和束町南山城村の1市2町1村を管轄する消防組合。

消防本部が木津川市に、管内に5つの出張所がある:

  • 山城出張所
  • 加茂出張所
  • 木津西出張所
  • 東部出張所
  • 和束出張所

リンク:
相楽中部消防組合消防本部

一部事務組合

一部事務組合(いちぶじむくみあい)とは、複数の普通地方公共団体特別区が、行政サービスの一部を共同で行うことを目的として設置する組織で、地方自治法284条2項により設けられる(Wikipediaより)。

相楽中部消防組合もこの規定により組織されている。

地方自治法においては、一部事務組合も市町村のような地方公共団体に位置付けられる。

地方自治法より抜粋:

第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。
○3 特別地方公共団体は、特別区地方公共団体の組合及び財産区とする。
(組合の種類及び設置)
第二百八十四条 地方公共団体の組合は、一部事務組合及び広域連合とする。
2 普通地方公共団体及び特別区は、その事務の一部を共同処理するため、その協議により規約を定め、都道府県の加入するものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事の許可を得て、一部事務組合を設けることができる。この場合において、一部事務組合内の地方公共団体につきその執行機関の権限に属する事項がなくなつたときは、その執行機関は、一部事務組合の成立と同時に消滅する。

地方自治法:
地方自治法 - Google 検索

改正健康増進法

2019年7月1日に一部施行された改正健康増進法により、地方公共団体の行政機関の庁舎は原則敷地内禁煙が義務付けられた。相楽中部消防組合も対象となる。

喫煙が許されるのは、特定の要件を満たした屋外喫煙場所に制限される。

健康増進法より抜粋:

(定義)
第二十五条の四 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 四 特定施設 多数の者が利用する施設のうち、次に掲げるものをいう。
  ロ 国及び地方公共団体の行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る。)
(特定施設における喫煙の禁止等)
第二十五条の五 何人も、正当な理由がなくて、特定施設においては、特定屋外喫煙場所及び喫煙関連研究場所以外の場所(以下この節において「喫煙禁止場所」という。)で喫煙をしてはならない。

健康増進法:
e-Gov法令検索

特定屋外喫煙場所

特定屋外喫煙場所とは、受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所であり、次の3つの要件を満たす必要がある:

  1. 喫煙をすることができる場所が区画されていること。
  2. 喫煙をすることができる場所である旨を記載した標識を掲示すること。
  3. 第一種施設を利用する者が通常立ち入らない場所に設置すること。

出典:
健発0222第1号 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000483545.pdf

受動喫煙防止対策について

2019年7月1日付の事務連絡「受動喫煙防止対策について」(6月28日起案)が総務課総務係より各所属長へ出された:

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受動喫煙防止対策について
改正健康増進法が相楽中部消防組合にも適用されること、そして特定屋外喫煙場所の運用方針を示している。

根本的におかしいのは、施行日付けで連絡したことだ。遅過ぎる。特定屋外喫煙場所の設置状況の報告期限が7月31日に設定されており、対応が間に合わないことがこの時点で折り込まれていたことが分かる。

記書きの「1 方針」に特定屋外喫煙場所の運用方針が示されている。(1) 不適な場所、(2) 措置、(3) 注意事項だが、前掲の要件3点が(1)と(2)に盛り込まれている。

(1) 不適な場所:

ア 建物の出入口付近
イ 出動に著しく支障がある場所
ウ 通行する人等の人目に付きやすい場所

人が通常立ち入る場所が例示されているということだろう。

(2) 措置:

ア 特定屋外喫煙場所であることが認識できる標識を掲げること
イ 喫煙場所と非喫煙場所を明確に区別するため、白線(幅5センチ)若しくは、トラロープで明示すること。
ウ 灰皿以外、置かないこと。
エ 苦情等があった場合は、それぞれの所属で対応すること。
オ 新たに特定屋外喫煙場所を設置する場合又は変更する場合は、所属長から総務課長に報告すること。

区画及び標識の掲示の要件がそれぞれ(イ)、(ア)に示されている。

結果報告

特定屋外喫煙場所の設置状況について、7月29日に結果報告(1回目)が各所属より消防長宛になされた。要件を全ては満たしていないものが殆どであった。8月29日に再度、結果報告(2回目)がなされた。

中部署、各出張所それぞれについて見る。

中部署

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中部署の結果報告(左: 1回目、右: 2回目)
1回目はどうも車庫の一角のようだ。すぐ側にバイクがある。上方が写ってないのでよく分からないが、屋内かも知れない。いずれにせよ受動喫煙が防止出来ない場所だ。標識も掲示されていない。
2回目は、物置か何かの側に移設されたのだろう。標識が掲示された。

山城出張所

ここは実際筆者が目にし、対応に遅れがあることに気が付いた場所なので、写真を織り交ぜ紹介する。

  • 7月を過ぎても車庫の中に灰皿があった:

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山城出張所、車庫の中の灰皿(表裏から)

  • 総務課に問い合わせると次の返事があった:

 ご指摘の山城出張所につきましても、国及び地方公共団体の行政機関の庁舎ということで、第1種施設と認識しております。
当本部におきましても、「健康増進法の一部を改正する法律」の施行にあわせ、特定屋外喫煙場所の設置場所、区画方法等検討をおこなっておりましたが、法の施行期日である7月1日に間に合いませんでした。
 今月中には、設置場所、区画、表示等の措置をとる予定でございます。
 今後も、法令を順守し、地域住民の期待に応じられるよう努めてまいります。

間に合わなかった、7月中には何とかする、との返事だ。間に合わなかったのなら、撤去するのが筋だろう。法令順守とは聞いて呆れる。

  • 7月末までには出入口の脇に移動されていた:

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山城出張所の喫煙場所(7月末頃)
区画され、標識が掲示されているが、これは特定屋外喫煙場所の要件を満たさない。区画に立ち入らなければ、車庫に出入り出来ないからだ。8月半ばまでこの状態にあった。

  • 8月の下旬には物置の側に移動されていた:

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山城出張所の喫煙場所(8月下旬)
トラロープで区画され、標識が掲示されているが、出入口や車に近く受動喫煙が生じうる場所だろう。

  • 結果報告は次の通り:

7月29日の1回目の報告に左と中の写真があった。中がいつ撮られたものかはよく分からない。出入口から少しだけ離れた場所に移動されている:

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山城出張所の結果報告(左と中: 1回目、右: 2回目)

  • 9月上旬にはさらに別に場所に移設されていた。区画がされているのかよく分からなかった:

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山城出張所の喫煙場所(9月上旬)

とにかく灰皿が迷走している。敷地内禁煙とすればよいだけの話なのだが。

東部出張所

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東部出張所の結果報告(左: 1回目、右: 2回目)
1回目は、区画内に洗濯機が置かれている。洗濯する者が立ち入る場所なのだから、特定屋外喫煙場所の要件を満たさない。総務課の文書にあった「ウ 灰皿以外、置かないこと。」にも反する。2回目は、建物の裏にでも移設されたのだろう。

加茂出張所

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加茂出張所の結果報告(左: 1回目、右: 2回目)"
1回目は出入口のすぐ近くだ。受動喫煙を防げない。

木津西出張所

建物1階裏手にあったものが、屋上に移設された:

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木津西出張所の結果報告(左: 1回目、右: 2回目)

和束出張所

1回目にはなかった標識の掲示が2回目には見られる:

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和束出張所の結果報告(左: 1回目、右: 2回目)