精華町役場のピロティ内喫煙室が閉鎖、庁舎西側に特定屋外喫煙場所(2019年7月1日)

京都府 相楽(そうらく)郡 精華(せいか)町の役場には、北玄関付近のピロティ内部に喫煙室があった。ここは天井があり、壁により2方向が囲まれているため、改正健康増進法においては屋内に位置付けられる。

同法は行政機関の庁舎について、2019年7月1日より屋内禁煙を義務付けるため、この喫煙室は6月30日に閉鎖され、7月1日より庁舎の西側に特定屋外喫煙場所が設置された。

他の町施設では、むくのきセンターと国民健康保険病院は7月1日より敷地内禁煙となった。

ピロティ内部の喫煙室

北玄関付近のピロティ内部に喫煙室があった。北玄関より見た様子:

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ピロティ内部の喫煙室

外観がこちら:

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北玄関と喫煙室の外観

この喫煙所について、山本 清悟(やまもと せいご)町議会議員は、平成30年度 6月会議(第3日 6月11日)にて通り掛かりに受動喫煙が生じると発言をしていた:

No. 236 山本
 細かいものが出てきたときに照らし合わせて、今のところを適切な場所かどうかを判断してから考える、こういう答弁だと思うんですけど、私が以前から指摘させていただいたんですけど、北側からの玄関から入るとき、たばこのにおいしますし、たばこのにおいするということは、既に受動喫煙の対象になってるということですし、また、あの場所につきましては、赤ちゃんを抱いたお母さん方とか、この1階のフロアのところで子供さんを対象、親子のいろんな事柄もやってます。それと健康診断、あそこで健康診断のバスが来て、いろんな検査をしております。まさしくその場所の横を通るわけです。やはり受動実態も含めてきちっと検証していただいて、そういうおそれのある場所から十分受動喫煙とならないような場所を選定していただきたい。そのように考えてますが、いかがですか。

平成30年度12月会議(第4日12月10日)でも取り上げ、扉を開けた状態また外で喫煙する者がいると指摘していた:

No.156 山本
 いわゆる答弁の中身としては、しかるべき場所を設けて、受動喫煙状態にならないようにきちっとすればよいというふうに理解したんですけど、当町において、北玄関横にあるところを指して答弁されたと思うんですけど、ここに最初に書いてありますように、喫煙マナーを守る。子供、未成年や妊婦の前では喫煙しない。この状況の文言からいえば、マナーを守っているかどうか。私、車を駐車場へ入れて北玄関から入ってきたときに、そのルームから外で吸われている方、せっかく煙を分散させないようにしているのに、扉をあけたままたばこを吸っている方、こういう方の指導について、やはりきっちりまずしてからこの場所を設けているということを答弁していただきたいと思いますが、いかがですか。

山本議員は以前より受動喫煙防止、職員の勤務時間中喫煙の抑制などを繰り返し訴えている。

行政機関は2019年7月1日より屋内禁煙

2019年7月1日に改正健康増進法が一部施行され、行政機関の庁舎等の第1種施設(特定施設)は屋内禁煙が義務付けられた。また屋外での喫煙は特定屋外喫煙場所に限られることとなった。

改正健康増進法より抜粋:

(定義)
第二十五条の四 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 四 特定施設 多数の者が利用する施設のうち、次に掲げるものをいう。
  ロ 国及び地方公共団体の行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る。)
 
(特定施設における喫煙の禁止等)
第二十五条の五 何人も、正当な理由がなくて、特定施設においては、特定屋外喫煙場所及び喫煙関連研究場所以外の場所(以下この節において「喫煙禁止場所」という。)で喫煙をしてはならない。

出典:
健康増進法 e-Gov法令検索

屋内の定義

改正健康増進法における屋内の定義とは、屋根があって側壁で50%以上覆われているものの内部である:

(2) 施設の「屋内」及び「屋外」
改正法の規制の対象となる施設の「屋内」とは、外気の流入が妨げられる場所として、屋根がある建物であって、かつ、側壁が概ね半分以上覆われているものの内部とし、これに該当しない場所については「屋外」となること。

そのため、精華町役場のピロティ内部も屋内に相当する。

出典:
健発0222第1号 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000483545.pdf

役場庁舎敷地内における受動喫煙対策について(方針)

精華町では改正健康増進法への対応はそれぞれの施設の所管課にて決定した。役場庁舎を所管する総務課庶務係が起案した6月17日決裁文書がこちら(印影への加工は筆者):

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役場庁舎敷地内における受動喫煙対策について(方針)

ピロティ内部は屋内

1ページめの一番下の行から2ページめの1行めにかけて

現在の役場庁舎喫煙室(プレハブ)は、庁舎建物ピロティ内部に設置しているなど、特定屋外喫煙場所の要件を満たさない

と改正法に適合しない旨書かれている。

特定屋外喫煙場所の設置の検討

続いて、新たな特定屋外喫煙場所の設置場所の検討がなされた。

場所は案1~4のうち、案4(庁舎西側スロープとの間)に決まった。各案の位置を示した図:

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別図(喫煙場所の候補

案1 附属棟裏植樹帯

植樹があるため伐採が必要となる。その他様々な理由により不適切とされた:

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案1 附属棟裏植樹帯
しかしそもそも通路(スロープ)に近過ぎ受動喫煙が防止出来ないのが明らかだ。

案2 庁舎北側食堂外部周辺

消防隊活動空地に入り、また庁舎の窓や周辺通路に近接し不適切とされた:

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案2 庁舎北側食堂外部周辺

案3 庁舎北側駐車場北端の一部

適切な候補とされた:

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案3 庁舎北側駐車場北端の一部
しかし駐車場の利用者へ受動喫煙が生じる場所だ。

案4 庁舎西側スロープとの間 ドライエリア奥の一部

庁舎の西側。スロープは自動車の往来が主。目立たない場所ということでここに決まった:

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案4 庁舎西側スロープとの間 ドライエリア奥の一部
手前に扉が見えるが、ここから喫煙所への利用があるのか確かめていない。

西側の道路から見た様子:

窓が開けられなくなるが、問題ないのだろうか?

文書では『植木鉢を置く程度で目隠しになる。』とされているが、風の影響により駐車場に煙が到達しうる構造だ。受動喫煙が防止出来ない。

準備不足の感

どうも改正健康増進法の施行に向けて準備不足の感が拭えない。法の趣旨を正しく理解しているのかも疑わしい。

文書は設置の目的を

役場庁舎は不特定多数の住民等が利用する施設であり、来庁者にも喫煙者が一定程度いる現状を踏まえ、特定屋外喫煙場所以外での喫煙行為をされないようにするなど、法に基づき、施設に応じた受動喫煙対策を講じることによって、望まない受動喫煙を防止することとする。

とあるが、受動喫煙防止には敷地内禁煙とすべきであり、喫煙所を設置すると先に述べたように駐車場で受動喫煙が生じうるだけでなく、庁舎内での呼出煙への曝露や三次喫煙なども防止出来ない。

役場庁舎は第1種施設に分類され、厚生労働省は『特定屋外喫煙場所を設置することを推奨するものではない』と前出の健発0222第1号にて明言している。

精華町役場では、7月1日以前は、北玄関及び中央玄関の脇に吸い殻入れが設置されていた:

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出入口脇の吸い殻入れ(左: 北玄関、右: 中央玄関)
『ここは禁煙』『喫煙は指定された場所へ』と掲示がされている。喫煙場所でないのだから吸い殻入れは不要だ。これでは「入館前に喫煙を止めれば喫煙場所でなくとも喫煙してよい」などと誤った認識・習慣を喫煙者に与えてしまう。

実際、7月1日以降、敷地内に吸い殻が複数投棄されているのを認めた。違反喫煙がなされた痕跡だ。

健康増進法の改正に向けて、もっと以前から吸い殻入れを撤去しておくなど準備しておくべきであったろう。

むくのきセンター

7月1日より敷地内禁煙となった。教育委員会の所管。禁煙化に際し、行政文書は作成されなかった。

喫煙場所(6月30日廃止)と出入口脇の吸い殻入れ

喫煙場所が1ヶ所、アプローチ棟の出入口脇に吸い殻入れがあった:

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喫煙場所と出入口脇の吸い殻入れ

敷地内禁煙化(2019年7月1日)

喫煙場所があった場所に全面禁煙化についての掲示がされていた:

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むくのきセンター敷地内全面禁煙について

アプローチ棟の出入口(またその他の場所)にも掲示があった:

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アプローチ棟の出入口(灰皿撤去後)

国民健康保険病院

驚くことに玄関からそう遠くない位置に灰皿が設置されていた:

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国民健康保険病院の喫煙所(2019年6月30日廃止)

7月1日より敷地内禁煙となった:

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病院敷地内禁煙について
お知らせには

愛煙家のみなさまには、大変ご不便をお掛けしますが、厚生労働省受動喫煙対策を強化する改正健康法の施行により建物内禁煙から、敷地内全面禁煙へ変更いたします。

とある。

病院なのだから、毅然と禁煙にした、と言うべきだ。喫煙者には禁煙を勧めるべきだ。