京都市立浴場が敷地内禁煙化(2019年春夏)

京都市立浴場9ヶ所が2019年の春から夏にかけて敷地内禁煙となった。健康増進法の改正に伴う措置。灰皿は撤去された。

市立浴場は2018年4月から屋内禁煙を実施し、灰皿が出入口付近に設置されている施設が多かった。

市から「ポイ捨て防止目的の消炎用」と説明を受けたが、喫煙所としての実態がある施設もあった。指定管理者との意思疎通が不十分であったと思われる。

なお、京都府浴場組合は9月1日より加盟店での屋内禁煙を実施している。

京都市立浴場

市内に9ヶ所ある:

指定管理者が運営する。所管は都市計画局住宅室すまいまちづくり課。

なお、京都市立楽只浴場は2019年10月1日に廃止された。

喫煙の際の配慮義務

出入口付近に灰皿を置いてはいけない。

改正健康増進法25条の3(2019年1月24日施行)は喫煙の際の配慮義務を規定する。

この配慮の具体例として健発0122第1号の第1の4は次のように示す:

喫煙場所を設ける場合には施設の出入口付近や利用者が多く集まるような場所には設置しないこと

健康増進法より抜粋:

 (喫煙をする際の配慮義務等)
第二十五条の三 何人も、特定施設の第二十五条の五第一項に規定する喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。
2 多数の者が利用する施設の管理権原者は、喫煙をすることができる場所を定めようとするときは、望まない受動喫煙を生じさせることがない場所とするよう配慮しなければならない。

久世(くぜ)浴場

出入口のすぐ前、屋根があり煙の籠もりやすい場所に灰皿(3月):

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久世浴場の灰皿(撤去前)

次の壬生浴場とあわせて市に 京都市:京都いつでもコール を通じて撤去を意見した。

市の回答:

市立浴場の屋外灰皿は,平成30年4月からの建物内禁煙の実施に伴い,浴場敷地への煙草のポイ捨て防止の観点から,喫煙される浴場利用者が入場前に煙草の火を消すために設置したものであり,浴場利用者には,その主旨を周知してきたところです。
屋外灰皿については,灰皿の使用状況及び浴場周辺への煙草のポイ捨て状況等を踏まえ,撤去が可能なところから実施してきており,この度,壬生浴場,久世浴場の屋外灰皿は撤去させていただきました。
今後も,浴場利用者への煙草のポイ捨てや喫煙マナーの向上に係る啓発等に努めてまいります。

回答に『入場前に煙草の火を消すために設置』とあるが、京都市市内全域が路上喫煙禁止のため必要のないものだ。

後日、市の回答の通り灰皿が撤去され、「ここは禁煙」と掲示されていた(5月):

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「ここは禁煙」の掲示(久世浴場)

壬生(みぶ)浴場

出入口のすぐ横に灰皿(3月):

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壬生浴場の灰皿(撤去前)

灰皿は撤去された。特に掲示はなかった。

改進(かいしん)浴場

出入口の向かって右手に灰皿2基が設置され、喫煙場所との掲示(4月):

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改進浴場の喫煙場所(撤去前)

市の回答:

先日も壬生,久世浴場に関して同様のご指摘を頂戴し,ご回答させていただきましたが,市立浴場の屋外灰皿は,平成30年4月からの建物内禁煙の実施に伴い,浴場敷地への煙草のポイ捨て防止の観点から,喫煙される浴場利用者が入場前に煙草の火を消すために設置したものであり,浴場利用者には,その主旨を周知してきたところです。
屋外灰皿については,灰皿の使用状況及び浴場周辺への煙草のポイ捨て状況等を踏まえ,撤去が可能なところから実施してきており,この度,改進浴場の屋外灰皿は撤去させていただきました。
今後も,浴場利用者への煙草のポイ捨てや喫煙マナーの向上に係る啓発等に努めてまいります。

久世浴場で見た回答と同じだが、理解に苦しむ説明だ。灰皿の設置目的を消炎用とするが、改進浴場では明らかに喫煙場所と掲示されていた。指定管理者と意思疎通が不十分であったのではないだろうか。

市の回答の通り灰皿は撤去された。特に掲示はなかった。

養正(ようせい)浴場

出入口の両脇に灰皿が設置されていた(4月)。
向かって右手:

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養正浴場の灰皿(向かって右手、撤去前)
向かって左手:
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養正浴場の灰皿(向かって左手、撤去前)

2ヶ所も灰皿が、しかもベンチの横に設置されているのだから喫煙場所だったのだと思う。

市に撤去を要望したところ、5月には敷地内禁煙となった。灰皿のあった場所の掲示:

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敷地内禁煙の掲示(養正浴場)

崇仁(すうじん)第三浴場

もともと灰皿の設置がなかった。5月に敷地内禁煙の掲示:

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敷地内禁煙の掲示(崇仁第三浴場)

崇仁第二浴場

5月に敷地内禁煙の掲示:

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敷地内禁煙の掲示(崇仁第二浴場)

以前は駐輪場の中に灰皿:

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崇仁第二浴場の駐輪場の中の灰皿(撤去前)

錦林(きんりん)浴場

建物の南壁面に喫煙所:

7月、灰皿が撤去されていた:

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錦林浴場の南側壁面(喫煙所撤去後)

京都市の意向で灰皿を撤去しました】
休憩していただくことは可能ですが、たばこの吸い殻などは各自で持ち帰るようご協力お願いします。
左京東部いきいき市民活動センター センター長

となぜか道路を隔てた施設の長の名で掲示がされている。理由はよく分からない。

壁面と施設出入口には敷地内禁煙の掲示:

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敷地内禁煙の掲示(錦林浴場)

辰巳(たつみ)浴場

女湯の階段降りた場所に灰皿(6月):

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辰巳浴場の灰皿(撤去前)

市の回答:

御指摘いただいた,辰巳浴場の屋外灰皿については撤去させていただきました。

後日、灰皿は撤去されていた。掲示は特になかった。

楽只(らくし)浴場

6月、敷地内禁煙の掲示:

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敷地内禁煙の掲示(楽只浴場)

禁煙が守られていなかった。吸い殻投棄:

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楽只浴場での吸い殻投棄

三条浴場

ストリートビューを見る限り随分以前より灰皿の設置がなかったようだ。

京都府浴場組合

市立浴場とは関係ないが紹介する。

2019年9月1日より屋内禁煙:


7月8日に開催された令和元年度京都府公衆浴場入浴料金審議会の議事要旨にも記載がある:

受動喫煙対策について、浴場組合では令和元年9月1日からの全面禁煙を目指して取組を行っている。