国会議員用に喫煙室を存続、国立国会図書館の"敷地内禁煙"
国立国会図書館(東京都千代田区永田町)が2020年4月より敷地内禁煙となったが、その対象は利用者と職員に限られ、国会議員は喫煙室での喫煙が可能である。
本館6階にある国会議員用の議員研究室のうち、4室が喫煙可能であった。このうち2室を喫煙専用室として暫定的に存続させる。衆参両議院の対応を踏まえた措置。
国会議員に特権を認めず、例外なく敷地内禁煙とすべきだ。
2020年11月13日に廃止される予定とのこと:
www.asahi.com
経緯
太字が情報公開制度にて明らかになった部分
2018年
- 7月25日 改正健康増進法公布
- 11月22日 館議懇談会にて説明
- 12月7日 館議にて了承
2019年
- 10月1日 敷地内禁煙の予定をウェブサイトにて公表
2020年
- 4月1日 敷地内禁煙
- 11月13日(予定) 国会議員用の喫煙室を廃止
国立国会図書館の敷地内禁煙についてのお知らせ
2019年10月1日付けで国会図書館のウェブサイトにて「国立国会図書館の敷地内禁煙についてのお知らせ」が公表された:
国立国会図書館では、改正健康増進法の趣旨に基づく受動喫煙対策として、令和2年4月1日(水)から敷地内の禁煙を実施します。これに伴い利用者喫煙室を廃止します。令和2年4月1日(水)以降は、当館の敷地内において、利用者(職員・来客を含む)が喫煙できる場所はありません。
利用者の皆様には、ご理解とご協力をお願いいたします。
『利用者喫煙室を廃止します。』『利用者(職員・来客を含む)が喫煙できる場所はありません。』と書いてはあるが、国会議員用に喫煙室が存続されることには触れていない。国会議員は利用者ではない、ということなのだろう。
出典:
国立国会図書館の敷地内禁煙についてのお知らせ|国立国会図書館―National Diet Library
なお関西館も同日に敷地内禁煙となる旨公表された:
国立国会図書館関西館では、改正健康増進法の趣旨に基づく受動喫煙対策として、令和2年4月1日(水)から敷地内の禁煙を実施します。これに伴い4階カフェテリア内の利用者喫煙コーナーを廃止します。令和2年4月1日(水)以降は、当館の敷地内において、利用者(職員・来客を含む)が喫煙できる場所はありません。
利用者の皆様には、ご理解とご協力をお願いいたします。
こちらについては2020年4月から完全に敷地内禁煙となった。
議員閲覧室・研究室
本館6階に国会議員専用の閲覧室および研究室が設けられている:
調査及び立法考査局の業務内容|国立国会図書館―National Diet Library
後程紹介する文書にて分かることは、
- 議員研究室6~9の4室が、喫煙可能であった
- この4室のうち、2室を喫煙専用室として暫定的に存続。
なお本館6階には食堂・売店がある:
フロア案内|国立国会図書館―National Diet Library
他の利用者とは完全に隔離されているのだろうか。
館議懇談会(平成30年11月22日)
平成30年11月22日、館議懇談会にて「健康増進法改正に伴う喫煙室の扱いについて(案)」が説明された。
次の3案が検討された:
- A案: 現在の喫煙室を存続
- B案: 特定屋外喫煙場所の新規設置
- C案: 敷地内禁煙
その結果、議員研究室については衆参の対応を踏まえ4室のうち2室を喫煙専用室として暫定的に存続させることとされ、利用者及び職員についてはC案の敷地内禁煙が妥当とされた。
詳細は開示文書を参照して欲しい。
館議懇談会記録
記録がこちら:
関西館
4階カフェテラスの一角にあった喫煙所が閉鎖されていた(2020年8月):
壁が取り払われ飲食スペースとして有効活用されるようになった(2020年9月):
館内の掲示物:
周辺の歩道での喫煙は、他の利用者等への迷惑になりますのでご遠慮ください。
と路上喫煙による受動喫煙を防止するよう呼び掛けてもいる。
www.city.nara.lg.jp
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news.yahoo.co.jp
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京都市立浴場が敷地内禁煙化(2019年春夏)
京都市立浴場9ヶ所が2019年の春から夏にかけて敷地内禁煙となった。健康増進法の改正に伴う措置。灰皿は撤去された。
市立浴場は2018年4月から屋内禁煙を実施し、灰皿が出入口付近に設置されている施設が多かった。
市から「ポイ捨て防止目的の消炎用」と説明を受けたが、喫煙所としての実態がある施設もあった。指定管理者との意思疎通が不十分であったと思われる。
なお、京都府浴場組合は9月1日より加盟店での屋内禁煙を実施している。
喫煙の際の配慮義務
出入口付近に灰皿を置いてはいけない。
改正健康増進法25条の3(2019年1月24日施行)は喫煙の際の配慮義務を規定する。
この配慮の具体例として健発0122第1号の第1の4は次のように示す:
喫煙場所を設ける場合には施設の出入口付近や利用者が多く集まるような場所には設置しないこと
健康増進法より抜粋:
(喫煙をする際の配慮義務等)
第二十五条の三 何人も、特定施設の第二十五条の五第一項に規定する喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。
2 多数の者が利用する施設の管理権原者は、喫煙をすることができる場所を定めようとするときは、望まない受動喫煙を生じさせることがない場所とするよう配慮しなければならない。
久世(くぜ)浴場
出入口のすぐ前、屋根があり煙の籠もりやすい場所に灰皿(3月):
次の壬生浴場とあわせて市に 京都市:京都いつでもコール を通じて撤去を意見した。
市の回答:
市立浴場の屋外灰皿は,平成30年4月からの建物内禁煙の実施に伴い,浴場敷地への煙草のポイ捨て防止の観点から,喫煙される浴場利用者が入場前に煙草の火を消すために設置したものであり,浴場利用者には,その主旨を周知してきたところです。
屋外灰皿については,灰皿の使用状況及び浴場周辺への煙草のポイ捨て状況等を踏まえ,撤去が可能なところから実施してきており,この度,壬生浴場,久世浴場の屋外灰皿は撤去させていただきました。
今後も,浴場利用者への煙草のポイ捨てや喫煙マナーの向上に係る啓発等に努めてまいります。
回答に『入場前に煙草の火を消すために設置』とあるが、京都市は市内全域が路上喫煙禁止のため必要のないものだ。
後日、市の回答の通り灰皿が撤去され、「ここは禁煙」と掲示されていた(5月):
改進(かいしん)浴場
出入口の向かって右手に灰皿2基が設置され、喫煙場所との掲示(4月):
市の回答:
先日も壬生,久世浴場に関して同様のご指摘を頂戴し,ご回答させていただきましたが,市立浴場の屋外灰皿は,平成30年4月からの建物内禁煙の実施に伴い,浴場敷地への煙草のポイ捨て防止の観点から,喫煙される浴場利用者が入場前に煙草の火を消すために設置したものであり,浴場利用者には,その主旨を周知してきたところです。
屋外灰皿については,灰皿の使用状況及び浴場周辺への煙草のポイ捨て状況等を踏まえ,撤去が可能なところから実施してきており,この度,改進浴場の屋外灰皿は撤去させていただきました。
今後も,浴場利用者への煙草のポイ捨てや喫煙マナーの向上に係る啓発等に努めてまいります。
久世浴場で見た回答と同じだが、理解に苦しむ説明だ。灰皿の設置目的を消炎用とするが、改進浴場では明らかに喫煙場所と掲示されていた。指定管理者と意思疎通が不十分であったのではないだろうか。
市の回答の通り灰皿は撤去された。特に掲示はなかった。
養正(ようせい)浴場
出入口の両脇に灰皿が設置されていた(4月)。
向かって右手: 向かって左手:
2ヶ所も灰皿が、しかもベンチの横に設置されているのだから喫煙場所だったのだと思う。
市に撤去を要望したところ、5月には敷地内禁煙となった。灰皿のあった場所の掲示:
崇仁(すうじん)第三浴場
もともと灰皿の設置がなかった。5月に敷地内禁煙の掲示:
錦林(きんりん)浴場
建物の南壁面に喫煙所:
7月、灰皿が撤去されていた:
【京都市の意向で灰皿を撤去しました】
休憩していただくことは可能ですが、たばこの吸い殻などは各自で持ち帰るようご協力お願いします。
左京東部いきいき市民活動センター センター長
となぜか道路を隔てた施設の長の名で掲示がされている。理由はよく分からない。
壁面と施設出入口には敷地内禁煙の掲示:
三条浴場
ストリートビューを見る限り随分以前より灰皿の設置がなかったようだ。
京都府浴場組合
市立浴場とは関係ないが紹介する。
2019年9月1日より屋内禁煙:
京都府浴場組合では、受動喫煙の対策強化を目的とする改正健康増進法が2020年4月に全面施行されるのを前に2019年9月1日より全組合加盟店で全面禁煙となります。
— むらさき湯 (@ac_c6z) August 23, 2019
むらさき湯も施設敷地内では全面禁煙となりますので皆様のご理解とご協力をお願いします。
尚、電子・加熱式たばこも禁止です。 pic.twitter.com/T1xzQ37ifx
7月8日に開催された令和元年度京都府公衆浴場入浴料金審議会の議事要旨にも記載がある:
受動喫煙対策について、浴場組合では令和元年9月1日からの全面禁煙を目指して取組を行っている。
高槻市内の医院の出入口脇の灰皿が撤去へ
2019年10月下旬、大阪府 高槻(たかつき)市内の医院の出入口脇に灰皿が置かれたままであることに気付いた。
7月1日の改正健康増進法の一部施行に伴ない、病院等の第1種施設の管理権限者等は喫煙具の撤去が義務付けられている。
高槻市保健所に指摘した所、施設管理者より「灰皿を撤去する」との回答があった、とのこと。
灰皿
出入口の手前、傘立の横に灰皿があった:
病院は原則敷地内禁煙(2019年7月1日~)
2019年7月1日に改正健康増進法が一部施行され、病院などの第1種施設(特定施設)は原則敷地内禁煙が義務付けられた。
敷地内での喫煙が違法となっただけでなく、喫煙具を設置しているだけでも違反となる。特定の要件を満たせば設置も可能であるが、出入口のすぐ脇のような受動喫煙が生じる場所では認められない。
健康増進法より抜粋:
(定義)
第二十五条の四 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
四 特定施設 多数の者が利用する施設のうち、次に掲げるものをいう。
イ 学校、病院、児童福祉施設その他の受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設として政令で定めるもの
(特定施設の管理権原者等の責務)
第二十五条の六 特定施設の管理権原者等(管理権原者及び施設の管理者をいう。以下この節において同じ。)は、当該特定施設の喫煙禁止場所に専ら喫煙の用に供させるための器具及び設備を喫煙の用に供することができる状態で設置してはならない。