室内又はこれに準ずる環境とは?(神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例)

健康増進法第25条にある「室内又はこれに準ずる環境」について調べたいと思っています。調べた限りではこの定義はどこにも見当たりません。この文言は神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例にも見られます。

 

神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例における「室内又はこれに準ずる環境」の定義は以下の通りです。健康増進法第25条における定義と一致するかは不明です。

www.pref.kanagawa.jp

  • 室内」とは天井や壁により外気を遮断しうる環境にある場所を言います。前面シャッターを開けて営業している八百屋や鮮魚店のように、建造物の構造上は外周のすべてを閉じることができ得るが、当該施設の利用時間において、その一部を開放して営業している店舗等は、室内となります。
  • したがって、例えば、壁面のうち一面が開放されているゴルフ練習場の打席は、室内とはみなしません。
  • また、「これに準ずる環境」にある施設とは、階段状となっているためにたばこの煙に暴露するおそれのある構造となっている客席(スタンド)を有し、一度に多数の者が集合して利用する野球場や陸上競技場、競馬・競輪場、水族館のイルカショー等の観覧席を指しています。

 

詳しい解説が条例の逐条解説 第2条(定義)の4ページに掲載されています。

www.pref.kanagawa.jp

本条例は、科学的な知見によって受動喫煙の健康リスクが証明されている環境、換言すれば、たばこの煙が十分に拡散されないため曝露量が多くなる環境に対して規制を施そうとするものであるから、その規制対象は、「室内又はこれに準ずる環境」に限定したものである。
そして、ここにいう「室内」とは、天井や壁によって外気を遮断しうる環境にある場所をいい、また、「これに準ずる環境」とは、室外(屋外)であっても、その利用者が、十分に拡散されていないたばこの煙に曝露するおそれがある環境にある場所をいう。具体的には、階段状の客席(スタンド)を有し、観戦のために一度に多数の者が集合して利用する野球場や陸上競技場、あるいは、競馬・競輪場、水族館のイルカショーなどの観覧席が該当する。なお、条例では、施設が仮設か常設かは問わないため、仮設の花火観覧席やサーカス小屋の観覧席も該当することとなる。
その理由は、これらの施設が

  1. たばこの煙が十分に拡散する前に、その拡散する方向に利用者が存在し、たばこの煙に曝露するおそれのある構造を有する施設である(たばこの煙の拡散先)。
  2. 観覧のため一度に多数の者が集合して利用する施設であり、たばこの煙を容易に避けることができない構造である(たばこの煙への曝露回避性)。

ためであり、さらに、これらの施設に限定したのは、多様な施設がある中、個々に受動喫煙可能性について合理的な判断を行うことが現実的ではないためである。
ここで、例えば、ビル内から発着するバスターミナルのうちバスの出入り口が開放されているものや、ゴルフ練習場の打席のように、構造的に外気を完全に遮断できない(一部開放面がある)建造物は、室外(屋外)であり、条例規制の対象としない。
これは、複雑な構造を持つ施設に対し、これを統一的に線引きする合理的な基準を見出すことは不可能であり、また、何らかの基準を設定したとしても、適正な運用は著しく困難であるためである。
また、例えば、前面シャッターを開けて営業している八百屋や鮮魚店のように、建造物の構造上は外周のすべてを閉じることができ得るが、当該施設の利用時間において、その一部を開放して営業している店舗等は、室内である。
これは、その開放部分については、建築物の構造上、閉じることができるのであるから、閉じることができる程度に気密性が高く、たばこの煙が拡散しにくい環境にあるとみなすことができるためである。また、同一の施設において、現に一部が開放されているか否かで取扱いが異なるのでは、恣意的な取扱いが可能となってしまい均衡を失するためである。