向日市(京都府)が2019年4月1日から各公共施設の敷地内禁煙を実施した。市は昨年7月25日の健康増進法の改正法の公布以前より検討を始めていた。全面禁煙に先立ち、段階的取り組みとして2018年10月1日より職員は勤務時間中(休憩時間を除く)禁煙となっていた。
改正健康増進法における行政機関の原則敷地内禁煙の施行は2019年7月1日であり、この月日が政令により公布されたのは1月17日(インターネット版官報)であった。そのため市の検討時には改正法がいつ施行されるかは決まってなかった。市は市の取り組みとして4月を開始時期として設定したとのことであった。
周知方法に問題があるように思う。各施設により掲出の内容が統一されておらず、掲出がない施設もある。そのためか敷地内での違反喫煙や吸い殻投棄を見かける。ウェブサイト(※9月19日公表)や広報誌でも周知していないようだ。今後の課題だろう。
経緯
2018年
- 7月11日、勤務時間中の喫煙についてのアンケートを実施
- 7月24日、勤務時間中の喫煙について総合調整連絡チーム会議にて検討。2019年4月からの全面禁煙、それに向けた段階的取り組みとして勤務時間中禁煙を検討
- 8月22日、上記の内容で調整
- 9月25日、向日市職員衛生委員会 総括安全衛生管理者により通知
- 10月1日、勤務時間中禁煙を実施
2019年
- 4月1日、各施設での敷地内禁煙を実施
検討の過程で作成・取得した文書を開示請求した。いずれも「勤務時間中の喫煙について」とタイトルにある。職員の禁煙に重点が置かれ、利用者等来庁者の喫煙防止には意識が向けられていない、ということか。
市役所
駐車場にいくつか掲出があったが、徹底されておらず吸い殻がいくつか投棄されていた。また敷地の周囲で歩きタバコをする職員と思われる男性もいた。庁舎には禁煙に関する掲出は見られなかった。
向日市立図書館・向日市文化資料館
併設するこれら施設も敷地内禁煙となった。2017年の利用時に灰皿の位置が動線に近かったため意見した所、やや離れた所へ灰皿が移設されていた: 2019年4月1日から敷地内全面禁煙となった旨、灰皿があった場所や駐輪場等に掲出がされた: 違反行為を見かけた。喫煙と吸い殻投棄だ。文字だけでなくピクトグラムで掲出する方が効果的と思われる:
受動喫煙防止対策の検討の過程で作成した文書を開示請求した: 灰皿撤去経緯にある平成29年9月の役所へのメールとは筆者がしたものだ。その際、近隣状況を調査し、参考にしたようだ。近隣では同種施設の敷地内禁煙を実施している自治体がない、あっても近くの別施設に喫煙所がある、という事情もあって、敷地内禁煙という判断にまで至らなかったのかも知れない。主体的とは言えないかも知れないが、判断の際に近隣自治体の事例を参考にすることがある、ということは知っておいて損はないだろう。
平成24年6月の「灰皿を出入口から14メートル離れた場所へ移動」とある中の14メートルとは日本禁煙学会の見解と提言を参考にしたものと思われる。
参考: 屋外における受動喫煙防止に関する日本禁煙学会の見解と提言
向日市民体育館
かつて喫煙場所があった壁面に敷地内全面禁煙を知らせる掲出が貼られていた。指定管理者が運営する施設だが、喫煙者からの苦情は市へ向けさせるためか「禁煙のお願いは、向日市の方針によるものです。」との説明がある。この施設も違反喫煙と吸い殻投棄があった。喫煙は取引業者のようだ:
老人福祉センター
3ヶ所のうち、琴の橋について見る。以前は入口付近に灰皿があった:
灰皿は撤去されていたが、掲出らしきものは見当たらなかった: