京阪石清水八幡宮駅前の喫煙所が移設も、厚生労働省の通知に不適合(2019年7月上旬)
京阪石清水八幡宮駅前広場のタクシーのりば付近の喫煙所が2019年7月上旬、バス待合所の裏側へ移設された。
健康増進法の改正に伴う措置だが、厚生労働省の通知(健発1109第6号)に沿った対応ではない。担当の道路河川課はこの通知を把握していなかった。
バス停から見た場合、1のりばからは遠くなったものの、2のりばへは近くなった。
移設前後とも、バス乗降客へと受動喫煙が生じる場所と思うが、市に苦情は寄せられていなかった。
※2019年10月1日に八幡(やわた)市駅は石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)駅へと改称された。
タクシーのりば付近の喫煙所
向かって左手にタクシーのりば、真ん中あたりに喫煙所、右手に公衆電話がある。タクシーのりばの向こう側がバス停1のりばだ:
反対側から見ると、バス停1のりばにも近接していることがよく分かる:
バス待合所の裏側へ移設
2019年7月上旬、バス待合所の裏側へ移設された:
バス停1のりばからは遠くなったが、2のりばへは近くなった:
バス停1,2のりばと新旧喫煙所との位置関係:
2のりばを横から:
これではバス乗降客へ受動喫煙が生じる。しかし市へ苦情が寄せられていないか調べてみたところ、1つも出て来なかった。不思議に思う。
移設の告知(駅前広場を上から見た図):
八幡市駅前スペースにおける喫煙所の移設について(八道第297号)
八幡市都市整備部道路河川課が作成した文書(6月11日起案、6月14日決裁、環境保全課と合議)がこちら:
移設の根拠として、改正健康増進法が7月1日に施行されることが示され、かっこ書きで
(改正健康増進法では、「屋外で喫煙を行う場合は望まない受動喫煙を生じさせることがないよう、周囲の状況に配慮しなければならないものとする。」とされております。)
とある。これは25条の3に規定された喫煙の際の配慮義務を指しており、1月24日に施行されていた次の条文だ。
健康増進法より抜粋:
(喫煙をする際の配慮義務等)
第二十五条の三 何人も、特定施設の第二十五条の五第一項に規定する喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。
屋外分煙施設の技術的留意事項について(通知): 健発1109第6号
厚生労働省は2018年11月9日に駅前や商店街などでの受動喫煙防止対策についての通知を出していた(健発1109第6号)。
通知では屋外分煙施設を設置する際の技術的留意事項として
人通りの多い方向に対し、タバコの煙が容易に漏れ出ないようにすること
が要件として示され、具体的には喫煙所を
- 壁及び天井で囲う(コンテナ型) または、
- 4方向から2~3メートルの高さの壁で囲う(パーティション型)
ことと示されている。
この通知は八幡市へも2018年11月21日に京都府を通じて健康対策担当課宛に連絡が行っていたはずだが、市の内部で情報共有がなされなかったのか、道路河川課は把握していなかった。
改正健康増進法への対応が、単に灰皿の位置を変更するだけであったのは、(苦情がなかっただけでなく)ここにも理由があったようだ。
受動喫煙を防止するための最善の措置は喫煙所撤去である。現在の何ら対策が施されていない状態では受動喫煙を防止できないのは明らかだ。