大山崎町役場庁舎3,4階ベランダの喫煙所が存続(2019年7月1日)

京都府 乙訓(おとくに)郡 大山崎(おおやまざき)町の役場庁舎3,4階ベランダに喫煙所がある。

2019年7月1日から一部施行された改正健康増進法(行政機関は原則敷地内禁煙)への対応にあたり、それぞれ特定屋外喫煙場所として存続された。

前川 光(まえかわ ひかる)町長による判断。前川町長は「2019年世界禁煙デー in 京都」に参加し、受動喫煙防止に関心があるようだが、それより前に存続を決めていた。

経緯

太字が大山崎町への情報公開請求で明らかになった部分。

2018年

2019年

ベランダの喫煙所

4階建ての庁舎の3階北側と4階東側のベランダに喫煙所がある。

3階北側ベランダの喫煙所

3階北側ベランダの喫煙場所への入口の様子:

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3階北側ベランダの特定屋外喫煙場所の入口
扉に特定屋外喫煙場所を示す標識と厚生労働省のポスターが2枚掲示されている。7月上旬に撮影。

草彅 剛のポスターは厚生労働省が作成した世界禁煙デー(5月31日)を啓発するもの。

余談だが、WHO世界保健機関のものは直接的な表現でタバコの致命的有害性を訴える:

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世界禁煙デーのポスター(WHO作成)

4階東側のベランダの喫煙所

確認していない。4階は議会が入る。議員や傍聴人用か。

健康増進法の一部を改正する法律の施行に関するQ&Aの送付について

厚生労働省が4月26日に「健康増進法の一部を改正する法律の施行に関するQ&A」を発表し、京都府を通じて大山崎町にも通知された。

5月13日に政策総務課にて供覧され、改正健康増進法への対応が検討された。役場庁舎に関係のある部分は、4,5ページの「特定屋外喫煙場所関係」と20ページの「適用関係」だ。書き込みが見られる(赤枠は筆者による加工):

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健康増進法の一部を改正する法律の施行に関するQ&A」への書き込み

4,5ページにて特定屋外喫煙場所の要件が確認された。

4ページの 3-2「区画」については『庁舎は扉があるので十分対応可』とされた。

5ページの 3-6 灰皿の設置については『池辺さんが管理してくれており、撤去してもいいのではないかと個人的に思います。(各自ポケット灰皿) 宮田』と書き込みがある。

5ページの 3-7 利用者については『一般住民は考えにくいが、今までどおり中会議室等の会ギ前後の利用が想定されます』とある。

20ページの適用関係にて議会フロアの規制について確認された。『議会フロアも第一種施設の規制が適用されることとなります。』に下線が引かれている。しかし大山崎町の場合、4階には議会の機能しかないのでここだけ第2種施設に相当するのではないかと思う。


管理用紙に現況と対応例が2つ示されている(印影への加工は筆者):

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健康増進法の一部を改正する法律の施行に関するQ&Aの送付について(管理用紙)
対応例は次の2つ:

  • 現況と変わりなし。「喫煙場所の看板」を出入口に掲示
  • 敷地内禁煙とする。

最終的に右下にあるように『5/21 現況のまま//』とされた。町長による判断と担当者は言っていた。

なお、健発0222第1号にて厚生労働省

第一種施設については、受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設であることから敷地内禁煙とすることが原則であり、本措置が設けられたことをもって特定屋外喫煙場所を設置することを推奨するものではないことに十分留意すること。

としていたが、留意した上での判断かは分からなかった。

この後、6月1日に前川町長が世界禁煙デー in京都のイベントに参加し、また6月3日に「5/28たばこ担当者講習会の配布資料について」が供覧されたが、判断に影響を及ぼすことはなかった。

役場庁舎の受動喫煙対策について(通知)

6月25日起案、6月26日決裁の文書:

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役場庁舎の受動喫煙対策について(通知)

役場庁舎敷地内においては、現在の喫煙場所に「特定屋外喫煙場所」の標識の掲示を行い、望まない受動喫煙の防止を図ることとします

とあるが、喫煙所がある限り受動喫煙は防止出来ない。

呼出煙への曝露などがあるためだ。喫煙後も30分間は呼気に有害成分が含まれている:
www.news24.jp

前川 光(まえかわ ひかる)町長

非喫煙者と職員には聞いた。過去の喫煙経験は不明。カフェソフィアのオーナーをしていた。食べログには全面喫煙可とある。受動喫煙に寛容なのだろうか。

6月1日の2019年世界禁煙デーin京都に途中まで参加していた:

共催した京都禁煙推進研究会の安田 雄司(やすだ ゆうじ)理事が高校の先輩とのことでその縁での参加であろうか。

敷地内禁煙を決断して欲しかった。

長岡京市役所の喫煙所、南棟1階西口が廃止、北棟屋上は存続(2019年6月28日)

京都府長岡京(ながおかきょう)市は、市役所本庁舎の喫煙所について、南棟1階西口を廃止(2019年6月28日)し、北棟屋上は存続させた。

7月1日からの改正健康増進法の一部施行に伴う措置。厚生労働省は『設置することを推奨するものではない』と通知していたが、市の検討経過には考慮の跡が見られなかった。

南棟1階にはタバコ自販機がある。敷地内禁煙化の妨げになる。喫煙所ともども撤去すべきだ。

南棟1階西口の喫煙所

本庁舎の南棟の西出入口の扉の前にあった。天井があり、三方を壁で囲まれた場所だ:

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南棟1階西口の喫煙所(廃止前)

職員が喫煙に向かう場面を来客用駐輪場から見た様子。駐輪場の側にも灰皿があった:

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来客用駐輪場から見た様子

行政機関の庁舎は原則敷地内禁煙(2019年7月1日~)

健康増進法が改正され、2019年7月1日より行政機関の庁舎をはじめとする第1種施設は原則敷地内禁煙が義務付けられた。

特定の要件を見たす喫煙場所(「特定屋外喫煙場所」という。)を屋外に設置することも可能であるが、厚生労働省

第一種施設については、受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設であることから敷地内禁煙とすることが原則であり、本措置が設けられたことをもって特定屋外喫煙場所を設置することを推奨するものではないことに十分留意すること。

と通知している(健発0222第1号)。

京都府内の山城地域では向日市久御山町、井出町などが敷地内禁煙としている。

健康増進法の改正に伴う南棟1階西口喫煙場所の廃止、北棟屋上の喫煙場所存続について

長岡京市 総合政策部 公共施設再編推進室 財産管理活用担当が作成した文書(起案: 2019年6月4日、決裁: 6月5日)の別紙に本庁舎の喫煙場所の廃止・存続についての検討経過が記載されている:

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本庁舎の1階西口喫煙場所の廃止、北棟屋上の喫煙場所維持の検討経過
本庁舎が改正健康増進法の第1種施設に該当することが確認された後、南棟1階西口と北棟屋上の喫煙場所が特定屋外喫煙場所の要件を満たすか検討された。

特定屋外喫煙場所の要件は前出の健発0222第1号に記載がある。

南棟1階西口の喫煙場所は「屋内」のため廃止

改正法において「屋内」とは、

外気の流入が妨げられる場所として、屋根がある建物であって、かつ、側壁が概ね半分以上覆われているものの内部とし、これに該当しない場所については「屋外」となること。

と定義されている。

南棟1階西口の喫煙場所は屋根があり、3方向を壁に囲まれているため、「屋内」に相当し、『存続不可と判断』とされた。

廃止の告知:

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お知らせ(南棟1階喫煙場所)

北棟屋上の喫煙場所は、区画し、標識を掲示すれば要件を満たす

特定屋外喫煙場所の要件は主に次の3つ:

  • 喫煙をすることができる場所が区画されていること
  • 喫煙をすることができる場所である旨を記載した標識を掲示すること
  • 第一種施設を利用する者が通常立ち入らない場所に設置すること

屋上は「通常立ち入らない場所」であるため、あとは区画し、標識を掲示すれば要件を満たすとして、『存続可と判断』された。

追加対応の概略図:

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北棟屋上へ追加対応する②③の概略図

屋上を南側(概略図の右側)から見た映像:

厚労省通知「設置非推奨」に留意した痕跡はない

先に引用したように厚生労働省は特定屋外喫煙場所について

設置することを推奨するものではないことに十分留意すること

と通知で示していたが、市の検討経過を見る限り、「留意」した様子はない。

それぞれの喫煙場所の存続の可否を検討しただけのように思える。

屋上であっても喫煙場所を設置する限り受動喫煙は生じる。喫煙後の呼気に有害成分が含まれるからだ(「呼出煙」という):
www.news24.jp

屋上も喫煙所を廃止し、敷地内完全禁煙とすべきだ。

タバコ自販機の設置(南棟1階)

南棟の1階、コピーコーナーの横にタバコの自販機が設置されている:

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タバコ自販機(南棟1階)

長岡京市には、たばこ税が41.652万円(平成25年度)納められ、暮らしに大きく役立っております。』などと書かれている:

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タバコ税に関する告知

タバコは税収よりも経済損失の方がはるかに上回ることが知られている。喫煙を原因とする疾病への医療費支出等さまざまな損失がある:

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たばこの社会全体に与える損失は4.3兆円にものぼる

禁煙化の妨げとなるので撤去すべきだ。

ganjoho.jp

京阪石清水八幡宮駅前の喫煙所が移設も、厚生労働省の通知に不適合(2019年7月上旬)

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タイのタバコパッケージ

京阪石清水八幡宮駅前広場のタクシーのりば付近の喫煙所が2019年7月上旬、バス待合所の裏側へ移設された。

健康増進法の改正に伴う措置だが、厚生労働省の通知(健発1109第6号)に沿った対応ではない。担当の道路河川課はこの通知を把握していなかった。

バス停から見た場合、1のりばからは遠くなったものの、2のりばへは近くなった。

移設前後とも、バス乗降客へと受動喫煙が生じる場所と思うが、市に苦情は寄せられていなかった。

※2019年10月1日に八幡(やわた)市駅は石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)駅へと改称された。

タクシーのりば付近の喫煙所

向かって左手にタクシーのりば、真ん中あたりに喫煙所、右手に公衆電話がある。タクシーのりばの向こう側がバス停1のりばだ:

反対側から見ると、バス停1のりばにも近接していることがよく分かる:

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京阪八幡市駅前の喫煙所(移設前)

バス待合所の裏側へ移設

2019年7月上旬、バス待合所の裏側へ移設された:

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京阪八幡市駅前の喫煙所(移設後)

バス停1のりばからは遠くなったが、2のりばへは近くなった:

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2のりば近くへ移設された喫煙所

バス停1,2のりばと新旧喫煙所との位置関係:

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バス停と喫煙所(移設前後)の位置関係

2のりばを横から:

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バス停2のりばと喫煙所(移設後)

これではバス乗降客へ受動喫煙が生じる。しかし市へ苦情が寄せられていないか調べてみたところ、1つも出て来なかった。不思議に思う。

移設の告知(駅前広場を上から見た図):

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喫煙場所の移設について

八幡市駅前スペースにおける喫煙所の移設について(八道第297号)

八幡市都市整備部道路河川課が作成した文書(6月11日起案、6月14日決裁、環境保全課と合議)がこちら:

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R1.7.1健康増進法改正に伴う喫煙所の移設について

移設の根拠として、改正健康増進法が7月1日に施行されることが示され、かっこ書きで

(改正健康増進法では、「屋外で喫煙を行う場合は望まない受動喫煙を生じさせることがないよう、周囲の状況に配慮しなければならないものとする。」とされております。)

とある。これは25条の3に規定された喫煙の際の配慮義務を指しており、1月24日に施行されていた次の条文だ。

健康増進法より抜粋:

 (喫煙をする際の配慮義務等)
第二十五条の三 何人も、特定施設の第二十五条の五第一項に規定する喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。

屋外分煙施設の技術的留意事項について(通知): 健発1109第6号

厚生労働省は2018年11月9日に駅前や商店街などでの受動喫煙防止対策についての通知を出していた(健発1109第6号)。

通知では屋外分煙施設を設置する際の技術的留意事項として

人通りの多い方向に対し、タバコの煙が容易に漏れ出ないようにすること

が要件として示され、具体的には喫煙所を

  • 壁及び天井で囲う(コンテナ型) または、
  • 4方向から2~3メートルの高さの壁で囲う(パーティション)

ことと示されている。

この通知は八幡市へも2018年11月21日に京都府を通じて健康対策担当課宛に連絡が行っていたはずだが、市の内部で情報共有がなされなかったのか、道路河川課は把握していなかった。

改正健康増進法への対応が、単に灰皿の位置を変更するだけであったのは、(苦情がなかっただけでなく)ここにも理由があったようだ。

受動喫煙を防止するための最善の措置は喫煙所撤去である。現在の何ら対策が施されていない状態では受動喫煙を防止できないのは明らかだ。

厚生労働省から都道府県知事への通知:

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屋外分煙施設の技術的留意事項について(通知)

京都府から各市町村健康対策担当課長宛の事務連絡:

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京都府からの事務連絡