京都府の長岡京(ながおかきょう)市は、市役所本庁舎の喫煙所について、南棟1階西口を廃止(2019年6月28日)し、北棟屋上は存続させた。
7月1日からの改正健康増進法の一部施行に伴う措置。厚生労働省は『設置することを推奨するものではない』と通知していたが、市の検討経過には考慮の跡が見られなかった。
南棟1階にはタバコ自販機がある。敷地内禁煙化の妨げになる。喫煙所ともども撤去すべきだ。
南棟1階西口の喫煙所
本庁舎の南棟の西出入口の扉の前にあった。天井があり、三方を壁で囲まれた場所だ:
職員が喫煙に向かう場面を来客用駐輪場から見た様子。駐輪場の側にも灰皿があった:
行政機関の庁舎は原則敷地内禁煙(2019年7月1日~)
健康増進法が改正され、2019年7月1日より行政機関の庁舎をはじめとする第1種施設は原則敷地内禁煙が義務付けられた。
特定の要件を見たす喫煙場所(「特定屋外喫煙場所」という。)を屋外に設置することも可能であるが、厚生労働省は
第一種施設については、受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設であることから敷地内禁煙とすることが原則であり、本措置が設けられたことをもって特定屋外喫煙場所を設置することを推奨するものではないことに十分留意すること。
と通知している(健発0222第1号)。
健康増進法の改正に伴う南棟1階西口喫煙場所の廃止、北棟屋上の喫煙場所存続について
長岡京市 総合政策部 公共施設再編推進室 財産管理活用担当が作成した文書(起案: 2019年6月4日、決裁: 6月5日)の別紙に本庁舎の喫煙場所の廃止・存続についての検討経過が記載されている:
特定屋外喫煙場所の要件は前出の健発0222第1号に記載がある。
南棟1階西口の喫煙場所は「屋内」のため廃止
改正法において「屋内」とは、
外気の流入が妨げられる場所として、屋根がある建物であって、かつ、側壁が概ね半分以上覆われているものの内部とし、これに該当しない場所については「屋外」となること。
と定義されている。
南棟1階西口の喫煙場所は屋根があり、3方向を壁に囲まれているため、「屋内」に相当し、『存続不可と判断』とされた。
廃止の告知:
北棟屋上の喫煙場所は、区画し、標識を掲示すれば要件を満たす
特定屋外喫煙場所の要件は主に次の3つ:
- 喫煙をすることができる場所が区画されていること
- 喫煙をすることができる場所である旨を記載した標識を掲示すること
- 第一種施設を利用する者が通常立ち入らない場所に設置すること
屋上は「通常立ち入らない場所」であるため、あとは区画し、標識を掲示すれば要件を満たすとして、『存続可と判断』された。
追加対応の概略図:
屋上を南側(概略図の右側)から見た映像:
厚労省通知「設置非推奨」に留意した痕跡はない
先に引用したように厚生労働省は特定屋外喫煙場所について
設置することを推奨するものではないことに十分留意すること
と通知で示していたが、市の検討経過を見る限り、「留意」した様子はない。
それぞれの喫煙場所の存続の可否を検討しただけのように思える。
屋上であっても喫煙場所を設置する限り受動喫煙は生じる。喫煙後の呼気に有害成分が含まれるからだ(「呼出煙」という):
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屋上も喫煙所を廃止し、敷地内完全禁煙とすべきだ。
タバコ自販機の設置(南棟1階)
南棟の1階、コピーコーナーの横にタバコの自販機が設置されている:
『長岡京市には、たばこ税が41.652万円(平成25年度)納められ、暮らしに大きく役立っております。』などと書かれている:
タバコは税収よりも経済損失の方がはるかに上回ることが知られている。喫煙を原因とする疾病への医療費支出等さまざまな損失がある:
禁煙化の妨げとなるので撤去すべきだ。