公立玉名中央病院が敷地内禁煙を実施(2019年2月1日)

公立玉名中央病院(熊本県玉名市中1950)が敷地内禁煙を実施した。

同病院は屋内禁煙加算を不正受給した可能性が報道で指摘されていた。

また、監査前に痕跡隠しを図った疑いも指摘されていた。

九州厚生局がいかなる処分を下したかはよく分からない。

敷地内全面禁煙のお知らせ

2019年3月25日付けのお知らせ:

2019.03.25

敷地内全面禁煙 ご協力をお願いいたします。

当院では、受動喫煙対策義務を定めた改正健康増進法の成立に伴い駐車場を含む病院敷地内を全面禁煙といたします。
ご来院、ご入院中の皆さまは、禁煙(電子たばこを含む)へのご協力をお願いいたします。
また、周辺道路での喫煙は周辺住民の方へのご迷惑となりますので、マナーをお守りいただきますよう併せてお願いいたします。

出典: お知らせ|公立玉名中央病院

報道

2019年1月に嘱託医を常勤医と偽って診療報酬を加算して不正に受給していたことが報道された:
www.nishinippon.co.jp

記事には書かれてないが、どうもこの時の九州厚生局による監査で、屋内喫煙加算の問題も浮上したようで、再度の監査が予定されたようだ。


2019年2月中旬、屋内での喫煙が常態化していたと報道された:

  • 2月13日付け

www.nishinippon.co.jp

  • 2月14日付け

www.nishinippon.co.jp

施設内禁煙に関して

2月13日付け記事の本文中で次のように言及されている:

病院側は今月1日、院長と危機管理委員長の連名で「自然と集まる地下の喫煙場所や医局内も含めて建物内は禁煙。喫煙のための物品は撤去する」と幹部職員に文書で通知

幹部職員あての文書がこちら(病院長・医局長の氏名は非公開):

f:id:muen_desire:20200704210130p:plain
施設内禁煙に関して

別紙:

f:id:muen_desire:20200704210159p:plain
別紙

文書には、記事で引用されたように(再度の)監査に備えることの他に、

本日2月1日から当院は『敷地内禁煙』の徹底に取り組みます。

とある。

しかし記者が2月上旬に取材した際は「病棟の外階段周辺で患者らしき人たちが喫煙する姿が」見え、徹底されていなかったと2月14日付けの記事にはある。

九州厚生局による指導

玉名中央病院は、嘱託医を常勤医と偽った不正により、8000万円の診療報酬を返還した:
www.nishinippon.co.jp

しかし屋内禁煙加算がどう追及されたのか、この記事には言及がなく、よく分からなかった。九州厚生局に公文書開示請求したら分かることがあるかも知れない。


別の病院では実際に返還を求められた例がある:
www.asahi.com
www.asahi.com
www.nikkei.com
www.asahi.com

京都府立植物園が「敷地内禁煙」に、ただし関係者用喫煙所あり(2019年7月15日)

タイのタバコパッケージ
京都府立植物園では2018年2月5日より来園者用喫煙場所が駐車場南西角に設置されていた。

駐輪場の利用者らに受動喫煙が生じるので撤去を要望したところ、2019年7月15日より「敷地内禁煙」となった:

「望まない受動喫煙をなくす」ため、令和元年7月15日から植物園敷地内を禁煙とします。
出典: 京都府立植物園総合案内/京都府ホームページ

しかし、関係者用の喫煙場所はバックヤードに1ヶ所残された。したがって、純粋な敷地内完全禁煙であるとはいえない。

来園者用喫煙場所

2018年2月5日より来園者用駐車場の南西角、駐輪場の奥に喫煙場所があった:

駐輪場奥の来園者用喫煙場所

外観:

来園者用喫煙場所の外観

灰皿はJTからの寄贈:

JT寄贈灰皿

当然、自転車やバイクでの来園者らに受動喫煙が生じる。

喫煙の際の配慮義務

2019年1月24日に一部施行された改正健康増進法において、喫煙の際の配慮義務が規定された。

受動喫煙が生じる場所に喫煙場所を設置してはいけない。

健康増進法より抜粋:

(喫煙をする際の配慮義務等)
第二十七条 
2 特定施設等の管理権原者は、喫煙をすることができる場所を定めようとするときは、望まない受動喫煙を生じさせることがない場所とするよう配慮しなければならない。

健康増進法: 健康増進法 | e-Gov法令検索

京都府立植物園の対応

京都府総合お問い合わせ窓口を通じて喫煙所の撤去を要望したところ、府立植物園より次の回答があった:

<回答内容>
植物園の喫煙場所につきましての、ご意見ありがとうございます。
ご指摘のとおり、現在の喫煙所は、健康増進法に規定されている受動喫煙を生じさせない配慮ができているとは申し上げられない状況です。
多くの来園者をお迎えする施設でございますので、施設内での喫煙所撤去、全面禁煙を含め、早急に対策を講じてまいりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

撤去に至る経緯

京都府に公文書開示請求し公開された文書をもとに撤去に至る経緯を辿る。

もともと来園者用も職員及び関係者用も3ヶ所ずつあった。
来園者用は1ヶ所に削減され、さらに有料区域の外へ移設され、最終的に撤去に至った。
関係者用の喫煙場所はバックヤードの1ヶ所に削減された。

過去

  • 来園者用(3ヶ所)・・・正門、北山門、植物会館前
  • 職員及び関係者用(3ヶ所)・・・植物会館南側及び西側、バックヤード

2017年

  • 11月1日 来園者用喫煙場所を1ヶ所(隠れ家トイレ北)に削減
  • 11月21日 JTが灰皿を寄贈

2018年

  • 来園者用喫煙場所を来園者用駐車場南西角に移設(有料区域の外)

2019年

  • 1月24日 改正健康増進法が一部施行
  • 3月13日 職員総務課、産業医による職場巡視
  • 6月20日 係長会議・労働組合(分会)で禁煙化を説明
  • 6月24日 JTに相談
  • 6月26日 職員会議で禁煙化を説明、予告を掲示
  • 7月15日 来園者用喫煙場所を撤去

府立植物園の喫煙対策について(2019年6月20日)

2019年6月20日に開催された係長会議・労働組合(分会)における説明資料:

府立植物園の喫煙対策について(令和元年6月20日)

健康増進法の趣旨や概要また園内喫煙場所、灰皿設置に係るこれまでの経過等が記述されている。その上で、次の方針が示された:

「望まない受動喫煙」に対する防止措置の推進や、喫煙場所設置に係る規定が明確にされたことから、R元年7月15日を目途として、来園者用灰皿を撤去し関係者用灰皿をバックヤードのみに設置することとする。

経過等にある「H31.3.13 職員総務課、産業医による職場巡視結果」とは次の文書:

職場巡視リスト(産業医用)
受動喫煙対策が要改善とされていた。

なお、職場巡視の対象とされるのは職員及び関係者用の喫煙場所だけであって、来園者用喫煙場所は巡視の対象ではない。

園内設置の喫煙設備に係る覚書について

2019年6月24日、JTと相談が行われた。来園者用喫煙場所に設置されていた灰皿はJTより寄贈を受けたものであったので、締結した覚書の取り扱いを相談する必要があった:

園内設置の喫煙設備に係る覚書について(令和元年6月24日)


2017年11月21日に締結した覚書がこちら:

覚書
第5条に「甲は、設備を5年間は継続して設置し、かつ供用に附するものとする。」とある。


植物園がJTから灰皿の寄贈を受けたそもそもの理由はよく分からない。全く必要のなかったものだ。植物園が主体的に受動喫煙対策を講じる上での障壁となる。

府立植物園の喫煙対策について(2019年6月26日)

2019年6月26日に開催された職員会議では、6月20日と全く同じ内容の説明資料が用いられた。

日付の他は同一であるので割愛する。

植物園敷地内禁煙に係る協力について

2019年6月26日に施行された関係各位あての文書:

植物園敷地内禁煙に係る協力について
関係者用の喫煙場所について、植物会館の南側と西側の灰皿は撤去し、バックヤードに灰皿を設置することが通知された。

グーグルマップだとここらあたりだろう:

撤去された来園者用喫煙場所

2019年7月上旬、灰皿に撤去予告が掲示されていた:

撤去予告が貼られた灰皿


その後、確かに灰皿が撤去され、禁煙の掲示がされていた:

灰皿が撤去された様子


掲示の拡大:

掲示
書き起こし:

望まない受動喫煙をなくすため
令和元年7月15日から
植物園内は禁煙です

園内の灰皿を撤去しました


タクシーのりばにも掲示があった:

タクシーのりばの掲示

他にも掲示があった:

通路の掲示

知事へのさわやか提案

京都市の男性から禁煙化を求める意見が知事へのさわやか提案に寄せられていた:

知事へのさわやか提案
平成29年11月30日とあるのは掲載日だろうか。
この男性の意見をきっかけに、2017年11月1日に来園者用喫煙場所が1ヶ所(隠れ家トイレ北)に削減されたものと思われる。

出典:
www.pref.kyoto.jp

南丹市八木支所の違法喫煙所が移設(2020年5月中旬)

南丹市八木支所(京都府南丹市八木町八木東久保)の庁舎裏口付近に喫煙所があった。

出入口付近であるだけでなく、図書館への動線の近傍であるなど、特定屋外喫煙場所の要件である「通常立ち入らない場所」ではなかった。

保健所に通報した結果、通常立ち入らない場所へと移設された。

喫煙場所

庁舎裏手の出入口付近に指定喫煙場所があった(「現在地」が正面玄関):

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喫煙場所の地図

喫煙場所は出入口のすぐ近くに設置されていた:

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喫煙場所

また隣接する図書室からの動線(点字ブロック)の近傍でもあった:

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喫煙場所と動線

これでは図書室へ出入りする者や支所との間を行き来しようとする者らへと受動喫煙が生じる。

特定屋外喫煙場所の要件

2019年7月1日より改正健康増進法が一部施行され、南丹市八木支所のような行政機関の庁舎は第1種施設に分類され、原則敷地内禁煙が義務付けられた。

喫煙場所を設置する場合は、特定屋外喫煙場所の要件を満たさねばならない。

主な要件は3つ

  • 喫煙をすることができる場所が区画されていること。
  • 喫煙をすることができる場所である旨を記載した標識を掲示すること。
  • 第一種施設を利用する者が通常立ち入らない場所に設置すること。

このうち、区画はパーティションでなされていた。
また、パーティションに標識の掲示はされていた:

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パーティションの標識

しかし、図書室と庁舎とを繋ぐ動線の近傍であり、「通常立ち入らない場所」ではなかった。

出典: 健発0222第1号 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000483545.pdf

南丹保健所の対応

京都府南丹保健所に特定屋外喫煙場所の要件を満たさないことを指摘し、是正指導を要望したところ、次の回答があった:

指導・対応させていただきました。

具体的な「指導・対応」の内容は分からなかった。

廃止された喫煙場所

喫煙場所が廃止されていた:

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廃止された喫煙場所

八木支所の担当者に聞くと、5月中旬にこの喫煙場所を廃止し、「通常立ち入らない場所」に移設したとのことであった。

移設場所は保健所と協議し選定したと言っていた。