中村桂子JT生命誌研究館館長が京都市立塔南高等学校の学術顧問に就任している件

JT生命誌研究館館長の中村桂子氏が京都市立塔南高等学校の学術顧問に就任している。学術顧問とは各界の第一線で活躍している面々に専門的な見地から指導・助言を受けることを目的とする制度だ。

氏の就任の経緯や指導・助言の内容について調べてみた所、ここ5年間は同校における学術顧問としての活動実態がないこと以外、何も分からなかった。

市立高等学校学術顧問・芸術顧問

設置の趣旨は次の通り:

京都市立高校では,教育内容,学校運営の在り方,育成すべき人材像,効果的な教授方法,大学・研究機関・産業界等との連携・接続の在り方,その他高校が行う全ての教育活動及び研究活動に対して,専門的な見地から指導・助言を受けるため,各界の第一線で活躍されている方々に「学術顧問」「芸術顧問」に就任いただき,それぞれの教育内容のより一層の充実・発展を図っています。

塔南高等学校には、中村桂子氏の他にも秋山仁氏、明石康氏、北川進氏らが学術顧問に就任している。

出典:
www.city.kyoto.lg.jp

JT生命誌研究館

大阪府高槻市に所在するJTが運営する企業博物館であり、HP(生命誌って何? | 生命誌研究館について | JT生命誌研究館)には、"生命誌"について、

人間も含めてのさまざまな生きものたちの「生きている」様子を見つめ、そこから「どう生きるか」を探す新しい知です。

とある。致命的有害性の備えるタバコ製品を製造・販売する会社が「どう生きるか」を研究するとは倒錯してはいまいか。

外観:

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JT生命詩研究館の外観
無料で館内を見学出来るとのこと。入ったことはない。JTの医薬総合研究所が併設される。

ちなみに屋内は禁煙で、屋外に喫煙所があると以前聞いた。JTが開発した加熱式タバコのプルーム・テックもそこでしか喫煙出来ない。これは、JTが他に運営する、たばこと塩の博物館についても同様で、屋内喫煙所でしか使用出来ない、とこれまた以前聞いた。理由は「子どもも多く利用する施設であり慎重に判断」などと言っていたが、そのように慎重な判断を要するモノをJTは飲食店で使えるように営業をかけている。矛盾を感じずにはいられない。現在どうなっているかは知らない。

タバコ規制枠組条約(FCTC)違反

このJT生命誌研究館は先に出た、たばこと塩の博物館と共にFCTC(タバコ規制枠組条約)によって規制されるタバコ産業のCSR(企業の社会貢献)活動に該当するため、条約違反である。本来は国がFCTCに基づきタバコ産業のCSR活動を規制する法律を作らなければいけないものの、それを怠りJTに好き放題のCSR活動を許してしまっている。他にも例えば、

と多岐に亘る。スポーツや自然また文化といった分野に注力していることから、タバコの持つ致命的有害性からそのイメージを引き離し、健康や伝統といったイメージにタバコを関連付ける意図があるものと考えられる。しかし忘れてはいけないのは、喫煙を理由として毎年日本では13万人が死亡しており、また受動喫煙が原因で1万5千人が死に至らしめられているということだ。

参考ウェブサイト: 「JTがやっているやってはいけないことCSR(社会貢献活動)とは?」のリーフレットができました
www.jstc.or.jp

不存在による非公開決定通知

中村桂子氏の学術顧問への就任の経緯や指導・助言の内容について調べてみようと、京都市教育委員会に公文書開示請求した所、不存在による非公開決定通知書を受け取った。文書を保有していないため、公開しない、ということだ。

保有していない理由は次の通り:

平成19年度の学術顧問就任(委嘱)の際の公文書については、保有年限(5年)が経過しており、既に廃棄されているため。
保有年限(5年)内は指導・助言を受けていないため、当該学術顧問に係る指導・助言等の文書は存在しないため。

念のため担当者に確認してみると、ここ5年は同校における顧問としての活動は皆無とのことであった。そのため、このことと平成19年度に就任したことの他は何一つ分からなかった。