京都府が、京都府たばこ商業協同組合連絡協議会に対し、京都府小売商業団体等育成補助金を毎年80万円交付している。担当課は商工労働観光部中小企業総合支援課。連絡協議会からの申請に対し、支出を決定している。
使途は、教育指導事業、情報提供事業、消費者サービス事業、喫煙環境整備事業。
京都府はこのようなタバコの販売促進に繋がる事業に対し、補助金を支出するべきではない。タバコ販売以外の業種への転業支援に支出すべきであろう。
タバコ規制枠組条約(FCTC)第17条「経済的に実行可能な代替の活動に対する支援の提供」には次のようにある:
締約国は、相互に並びに権限のある国際的及び地域的な政府間機関と協力して、適当な場合には、たばこの労働者及び耕作者並びに場合に応じ個々の販売業者のために経済的に実行可能な代替の活動を促進する。
出典: たばこ規制枠組条約
年度毎の比較
京都府に情報公開請求し、平成22年度以降について調べた。
事業実績報告書をもとに各事業の事業実績等を年度毎に比較する。
京都府たばこ商業協同組合連絡協議会は、京都、伏見、京丹、福知山、舞鶴、宮津の6つのたばこ商業協同組合を束ねる組織。以下で示す実績は6つの組合の合計値。
教育指導事業
各種研修会やペーパークラフト講習会のこと。
年度 | 開催日数 | 出席者数 |
---|---|---|
H22 | 34 | 1222 |
H23 | 33 | 1176 |
H24 | 32 | 938 |
H25 | 32 | 888 |
H26 | 33 | 831 |
H27 | 33 | 797 |
H28 | 33 | 774 |
H29 | 33 | 660 |
H30 | 33 | 597 |
R1 | 16 | 350 |
R2 | 20 | 346 |
R3 | 21 | 378 |
出席者数が年々減少している。
ペーパークラフトとはタバコ包装紙を利用したもののようで、「交通安全お守り・楊枝入れ・コースター」などを製作するようだ。関係があるかは分からないが、「たばこ 空箱 細工」でネット検索するといくつか書籍が見つかる。
諸外国では警告画像付きのパッケージが法律で義務付けられている:
日本でもこういったものが採用されれば、包装紙で工作しようなどという気にならなくなるのではないか。
情報提供事業
組合機関誌の発刊、および全国たばこ新聞の販売店への配布。
年度 | 発行回数 | 発行部数 |
---|---|---|
H22 | 7 | 5,600 |
H23 | 7 | 4,600 |
H24 | 7 | 3,900 |
H25 | 7 | 3,900 |
H26 | 7 | 3,900 |
H27 | 7 | 3,900 |
H28 | 7 | 3,500 |
H29 | 7 | 3,300 |
H30 | 7 | 3,100 |
R1 | 5 | 2,050 |
R2 | 5 | 2,030 |
R3 | 5 | 2,010 |
発行回数は京都、伏見、京丹、福知山での合計。舞鶴と宮津はいずれの年も0回。発行がないのか、別の事業として発行しているのかは不明。
発行部数は毎年減少している。組合に加入する店舗数の減少を反映しているものと思われる(平成32年度=令和2年度):

消費者サービス事業
タバコの量的販売促進を心がけるため、贈答タバコのボックスバックの作成。
年度 | 枚数 |
---|---|
H22 | 268,000 |
H23 | 268,000 |
H24 | 218,000 |
H25 | 218,000 |
H26 | 218,000 |
H27 | 188,000 |
H28 | 188,000 |
H29 | 167,000 |
H30 | 167,000 |
作成枚数は減少傾向にある。令和元年度以降は、補助金対象事業としての申請がなかった。
喫煙環境整備事業
京丹たばこ商業協同組合での事業。
「たばこは地元で買いましょう」ポスターの作成:
年度 | 枚数 |
---|---|
R1 | 130 |
R2 | 100 |
R3 | 100 |
ライター等貼り付けシールの作成:
年度 | 枚数 |
---|---|
R2 | 5,250 |
R3 | 6,700 |
のぼり旗の作成:
年度 | 枚数 |
---|---|
R3 | 200 |
Pティッシュの作成:
年度 | 個数 |
---|---|
R3 | 3,000 |
なお、京都たばこ商業協同組合は京都市から市たばこ税増収事業の委託を受け、ライターを作成している:
muen-desire.hateblo.jp
補助金、決算の額
事業収支決算書に記載の額。
年度 | 決算額 | 補助金額 |
---|---|---|
H22 | 4,371,860 | 800,000 |
H23 | 3,929,660 | 800,000 |
H24 | 2,963,240 | 800,000 |
H25 | 2,488,460 | 800,000 |
H26 | 2,460,800 | 800,000 |
H27 | 2,374,610 | 800,000 |
H28 | 2,197,230 | 800,000 |
H29 | 2,050,300 | 800,000 |
H30 | 1,920,190 | 800,000 |
R1 | 1,974,003 | 800,000 |
R2 | 1,727,710 | 800,000 |
R3 | 1,857,956 | 800,000 |
決算額は減少傾向にあるが、補助金額は80万円で一定。理由はよく分からない。
令和元年7月2日に実施された京都たばこ商業協同組合による知事表敬訪問の終了後、この団体等育成補助金について秋田府議と中小企業総合支援課長との間で次のようなやりとりがあった:
打ち切りは予定していないと聞いて、秋田府議は「安心した。」と発言したとある。
表敬訪問の結果報告の全体はこちら:
西脇 隆俊(にしわき たかとし)京都府知事がタバコに対し、親和的態度を見せていることが分かる。
同席する秋田府議、岸本府議、荒巻府議、宮下府議、青木府議、北原府議はいずれも自民党所属:
京都府議会/会派別名簿
さしずめ、京都府議会のタバコ族といったところであろうか。
公開文書
年度によって内容や書式に違いはあるが、交付申請書、事業計画書、事業収支予算書、交付の通知文、実績報告書、事業収支決算書及びその内訳、補助金額確定の通知文などが開示された。
平成27年度以降について、本稿で参照した部分を抜粋して示す。
令和2年度
令和2年度京都府小売商業団体等育成補助金の額の確定について(通知):

事業実績報告書:

事業収支決算書より収入の部:

令和元年度
令和元年度京都府小売商業団体等育成補助金の額の確定について(通知):
事業実績報告書:
事業収支決算書より収入の部:
平成30年度
平成30度京都府小売商業団体等育成補助金の額の確定について(通知):
事業実績報告書より抜粋:
事業収支決算書より収入の部:
平成29年度
平成29度京都府小売商業団体等育成補助金の額の確定について(通知):
事業実績報告書より抜粋:
事業収支決算書より収入の部:
平成28年度
平成28度京都府小売商業団体等育成補助金の額の確定について(通知):
事業実績報告書より抜粋:
事業収支決算書より収入の部:
平成27年度
平成27度京都府小売商業団体等育成補助金の額の確定について(通知):
事業実績報告書より抜粋:
事業収支決算書より収入の部:
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