京都府警が2019年7月1日から敷地内禁煙を実施。先立つ卒煙支援が手厚い。

※令和2年10月1日より特定屋外喫煙場所が設置されている。

京都府警が2019年7月1日から警察庁舎の敷地内全面禁煙を実施した:

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令和岩塩7月1日から敷地内全面禁煙です(京都府警察本部)

ウェブサイト(リンク切れ)https://www.pref.kyoto.jp/fukei/kosei/kinen.htmlには、

京都府警察では、望まない受動喫煙を防止するため、7月1日から警察本部、運転免許試験場、警察署、交番等、警察施設の建物及び敷地内において、全面禁煙となりますので、皆様のご理解とご協力をお願いします。

とある。この経緯を情報公開請求し調べた。

京都府警はかねてより禁煙を推進しており、今回の敷地内禁煙の検討にあたっては反対意見もなくすんなり決定したとのこと。そのため大阪府警であった特定屋外喫煙場所の検討資料などは一切出て来なかった。4月に敷地内禁煙の方針が決まり、7月の実施に向けた5,6月の2ヶ月間、喫煙者向けの禁煙(卒煙)支援の取り組みが様々用意されていた。

参考:
muen-desire.hateblo.jp

経緯

2018年

2019年

  • 4月11日 健康増進法の一部改正に伴う受動喫煙防止対策の推進について(公安委員会会議資料)
  • 4月17日 健康増進法改正に伴う敷地内禁煙及び禁煙に係る諸対策の実施について(通達)
  • 5月7日 禁煙ラリー開始(6月30日まで)
  • 7月1日 敷地内禁煙を実施

健康増進法の一部改正に伴う受動喫煙防止対策の推進について

2019年4月11日付の公安委員会会議資料「健康増進法の一部改正に伴う受動喫煙防止対策の推進について」を示す:

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健康増進法の一部改正に伴う受動喫煙防止対策の推進について
件名毎に見る。1目的及び2改正内容は府警に限ったものでなく省略する。

3 当府警の方針

中程に

法の施行日(平成31年7月1日)に合わせ、警察庁舎敷地内完全禁煙とする。

とある。この時点で新元号は「令和」と発表されていたのだから「平成31年」は誤りで「令和元年」が正しいはずだが誤植だろうか。いずれにせよ法の趣旨に忠実に従う方針だ。

4 喫煙者に対する禁煙へ向けた動機付け対策

喫煙者に対する手厚い卒煙支援が用意されていた。7月の敷地内禁煙に向けて5,6月の2ヶ月間でタバコを止められるよう促す内容だ。タバコの害を学習するだけでなく、タバコによる自分の体(肺)への影響を可視化する、また禁煙挑戦時に再喫煙してしまわないための対策など多方面からの支援が考えられていた:
(1) 禁煙ラリー
(2) ハイチェッカー(肺年齢測定器)の貸出
(3) 禁煙講座(本部産業医による喫煙による健康障害についての講演)
(4) 禁煙指導
(5) 福利厚生会カフェテリアプラン補助事業
後程詳しく紹介する。

5 その他

禁煙ラリーの成功率が18.4%と低めなのが気になる(^^;

健康増進法改正に伴う敷地内禁煙及び禁煙に係る諸対策の実施について(通達)

4月17日に部長、所属長宛に通達「健康増進法改正に伴う敷地内禁煙及び禁煙に係る諸対策の実施について」があった:

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健康増進法改正に伴う敷地内禁煙及び禁煙に係る諸対策の実施について(通達)
主な通達内容は次の2点:

  1. 敷地内禁煙の実施
  2. 禁煙活動の支援

「5 その他」とあるのは「3 その他」の誤植であろう。

1 敷地内禁煙の実施

求めるのは次の2点:

(1) 所属職員に対する完全禁煙となることの周知
(2) 警察庁舎敷地内における喫煙場所の撤去等

これらに従い例えば北警察署、八幡(やわた)警察署や城陽(じょうよう)警察署では通路また入口近くの灰皿が撤去された:

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北警察署での灰皿撤去前後
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八幡警察署での灰皿撤去前後
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城陽警察署での灰皿撤去前後
他にも入口近くに灰皿が置かれていた警察署はいくつかあった。来庁者が入館する前の"消炎用"との建前であったが、事実上喫煙所として機能していたものもあった。改正健康増進法においてはそのような曖昧な位置付けは許されない。敷地内禁煙の第1種施設に屋外であろうと灰皿を設置しているだけでも違法となる: 健康増進法 | e-Gov法令検索

(特定施設の管理権原者等の責務)
第二十五条の六 特定施設の管理権原者等(管理権原者及び施設の管理者をいう。以下この節において同じ。)は、当該特定施設の喫煙禁止場所に専ら喫煙の用に供させるための器具及び設備を喫煙の用に供することができる状態で設置してはならない。

2 禁煙活動の支援

4月11日付の公安委員会会議資料にあった禁煙へ向けた動機付け対策が喫煙者向けに詳述されている。

(1) 禁煙ラリー

イ 対象者が希望者だけでなく「所属長が喫煙習慣を改善させる必要があると認める者」を含むことが分かる。強制的に参加させてうまく卒煙させられるものなのだろうか・・・?

喫煙者には、加熱式たばこを使用している者を含む。」と明記している点がよい。たまに加熱式タバコで卒煙した、と勘違いする喫煙者がいるが、全くの誤りである。

参加者向けに肺年齢や肺機能の状態を知るための機器(ハイチェッカー=スパイロメーター)の貸し出しもしている。タバコを吸っていると息を吐く機能が衰える。それを知るための機械だ。酷く進むとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といい常に息切れが続くような状態となる。早期発見が重要だ。
www.sankei.com

(2) 禁煙講座の開催

産業医による禁煙講座が4度開催された。本部だけでなく警察署勤務の者でも参加出来たようだ。非喫煙者の参加を許す点、非常によいと思う。喫煙は喫煙者本人だけでなく周囲の非喫煙者にも受動喫煙により悪影響を与える。自らの健康を守るためにも知っておくべきことだ。

5 その他

(1) 禁煙促進用品(恐らくニコチンパッチ)への補助があるようだ。禁煙挑戦時の離脱症状を緩和する作用がある。
medical.nikkeibp.co.jp

禁煙ラリー参加者名簿・実施結果

通達に禁煙ラリー参加者名簿(別紙1) と禁煙ラリー実施結果(別紙2)の用紙が付属していた。別紙2の注2に「※加熱式たばこも「喫煙」に含む。」と再度注意書きがある点よい:

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禁煙ラリー参加者名簿(別紙1)・実施結果(別紙2)
卒煙は進んだのだろうか・・・?