枚方市(大阪府)が2019年4月1日から市施設の原則敷地内禁煙を実施。今後の課題は敷地外での受動喫煙防止。

大阪府枚方(ひらかた)市が公共施設の敷地内を2019年4月1日から原則禁煙とした。改正健康増進法では行政機関などは今年7月1日から原則敷地内禁煙となるところ、3ヶ月前倒しして実施したことになる。昨年12月の段階でこの方向性が決まっていたことが議会での答弁から分かる。また質問した市議会議員が懸念する通り、施設周辺での路上喫煙による受動喫煙をいかに防止するかが今後の課題となると思われる。路上喫煙規制について枚方市には枚方市路上喫煙の制限に関する条例 枚方市路上喫煙の制限に関する条例について | 枚方市ホームページ があるが、路上喫煙禁止区域の外であれば、立ち止まって携帯灰皿を用いた喫煙は規制されない。これは条例の目的が火傷や吸い殻投棄(ポイ捨て)の防止にあるからだ。だからといって周囲に受動喫煙を強いてよいわけではない。1月24日に既に施行された改正健康増進法25条の3第1項は喫煙の際の配慮義務を喫煙者に課し、受動喫煙を生じさせないよう求めている。この改正法の条文を周知徹底し機能させなければ受動喫煙は根絶出来ず、市施設の敷地内禁煙も意味のないものとなってしまう。

広報ひらかた平成31年3月号『市施設の敷地内が原則禁煙になります』

広報ひらかた平成31年3月号の9ページに予告記事が掲載されていた: 広報ひらかた平成31年3月号 | 枚方市ホームページ

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広報ひらかた平成31年3月号 9ページ

対象施設

  • 市役所(但し屋外喫煙所あり)
  • 市民会館
  • 図書館
  • 生涯学習市民センター
  • 体育館
  • 総合福祉会館(ラポールひらかた)
  • メセナひらかた会館
  • 輝きプラザきらら

といった市の施設が対象だ。市役所以外は敷地内完全禁煙となった。市役所は屋外に1ヶ所喫煙所がある。JTが寄贈したものだ。今後撤去されるかに注視したい。"原則"禁煙と歯切れが悪いのはここに原因がある。

改正健康増進法25条の3第1項

(喫煙をする際の配慮義務等)
第二十五条の三 何人も、喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。

と条文にあり: e-Gov法令検索、具体的な配慮の内容として、健発0122第1号の第1の3には

3 喫煙をする際の配慮義務に関する事項(第25 条の3第1項関係)
喫煙をする者は、喫煙をする際は望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。当該配慮義務の内容の具体例としては、できるだけ周囲に人がいない場所で喫煙をするよう配慮すること、子どもや患者等特に配慮が必要な人が集まる場所や近くにいる場所等では特に喫煙を控えること等が考えられる。

とある: https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190225H0030.pdf
つまり施設の敷地外、また屋外だからといって、自由に喫煙してよいわけではない。この条文は既に1月24日に施行されている。

以下、各施設について考察する。

枚方市役所の喫煙所について

2ヶ所あった喫煙所のうち、ベランダの喫煙所が撤去された(藤田幸久議員のブログ本日から敷地内禁煙を実施)ものの、別館東側の来庁者用喫煙所は撤去されていなかった:

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枚方市役所 屋外喫煙所
これについて議会で以下のやりとりがあった:
2018-12-17平成30年12月定例月議会(第2日)
藤田幸久議員

それでは、次に、4月から実施予定の敷地内禁煙の取り組みについて、お伺いいたします。
 ふれあい通りに向かい合ったベランダの喫煙所の撤去は当然のことと考えますが、気になるのが、保健所側の別館横にある来庁者用喫煙所です。この喫煙所は、敷地内に設置されています。また、本庁以外の市の施設にも、敷地内喫煙所があります。4月以降、どのように対応されるのでしょうか。
 一斉に市の施設の敷地内から喫煙所を撤去すると、施設周辺の路上喫煙等が懸念されます。市は、敷地内禁煙の実施を今後どのように進めていこうと考えておられるのでしょうか、見解をお聞かせください。

答弁(水野裕一総務部長)

 健康増進法の改正に伴いまして、多数の方が利用されます行政機関では、望まない受動喫煙の防止を図るため、来年夏ごろから原則として敷地内喫煙となりますが、本市におきましては、先行いたしまして、来年4月から市施設の敷地内禁煙に取り組んでまいります。つきましては、来庁者の皆様にも、法の趣旨を御理解いただき、敷地内禁煙に御協力いただきたいと考えております。
 しかし、市といたしましては、喫煙所の撤去だけでなく、市民への周知、啓発など、市域全体の受動喫煙防止対策を総合的かつ効果的に進めていかねばなりません。改正法では、必要な措置がとられた場所には喫煙場所が設置でき、今後、発出されます厚生労働省令で、その詳細が定められることとなっております。別館東側屋外に設置しております来庁者用の喫煙スペースにつきましても、この省令の内容を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

藤田議員の言う『保健所側の別館横にある来庁者用喫煙所』とは上で写真で示した喫煙所のことだ。これはJTが寄贈したもので通常であればJTと市とが覚書を締結しているため、市の一存では撤去出来ない。最低5年間は使用せねばならず、撤去に際しては3ヶ月前までにJTに申し入れしなければならない。2018年2月に設置されたようなので、JTとしては撤去を渋るものと予想される。
答弁にあった『今後、発出されます厚生労働省令』とは今年2月に出された健発0222第1号のことだ: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000483545.pdf
特定屋外喫煙場所の要件として

第一種施設を利用する者が通常立ち入らない場所に設置すること。
「施設を利用する者が通常立ち入らない場所」とは、例えば建物の裏や屋上など、喫煙のために立ち入る場合以外には通常利用することのない場所をいう。

と示す。これを検討すると同所は建物の横であり『喫煙のために立ち入る場合以外には通常利用することのない場所』なのかも知れないが、建物の裏ではなく、保健所とを隔てる道路に隣接しており、通行人への受動喫煙が生じる場所であるといえると思う:
今後の対応に注目したい。

輝きプラザきらら・枚方市立中央図書館

輝きプラザきららと道路を隔てて立地する枚方市立中央図書館は敷地内禁煙となった。

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輝きプラザきららの喫煙所(閉鎖済)
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枚方市立中央図書館の敷地内禁煙の掲出

2つの施設は車塚公園の中に位置するが、施設敷地内で喫煙出来なくなった喫煙者はこの車塚公園で喫煙しているようだ。輝きプラザ南側の公園入口付近に歩きたばこ禁止の掲出があった:

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車塚公園の歩きたばこ禁止の掲出
この掲出はストリートビューで確認すると昨年10月にはなかったものだ:
内容は前出の枚方市路上喫煙の制限に関する条例に符号する。つまり立ち止まって携帯灰皿を使用しての喫煙を求める。今年4月1日以降、敷地外の公園で喫煙するようになった喫煙者による吸い殻投棄を防止するのが目的だろう。実際に、輝きプラザきらら関係者によるここでの立ち止まった喫煙を1件目撃した。しかしこのような公園の入口で喫煙をされては受動喫煙が防止出来ない。先に述べた改正健康増進法25条の3第1項に規定する喫煙の際の配慮義務について周知徹底させるべきだ。

公園内に喫煙所を設けることには反対だ。煙はどうしても外に漏れる。枚方市では昨年、岡東中央公園に喫煙所が設けられたが、受動喫煙防止に十分な措置は講じられていない。道路に煙が漏れる仕様になっている: 岡東中央公園に喫煙スペースができてる : 枚方つーしん
市議会でのやりとりで今後市は公園に喫煙所を設ける予定はない、と答弁していたが、予断を許さない。市民の卒煙を促すためにも喫煙しにくい環境の整備は非常に重要だと思う。条例を改正し、立ち止まっての喫煙も禁止するべきだ。
2018-10-05平成30年9月定例月議会(第5日) 
藤田幸久議員

 喫煙対策についての(1)公園における受動喫煙防止対策について、お伺いいたします。
 岡東中央公園の取り組みを出発点として、多くの市民が利用しにぎわう公園においては、同様に受動喫煙対策仕様の喫煙所に切りかえていけばいいと考えます。例えば、岡本町公園においても、必要性や効果があると考えますが、見解をお聞かせください。

答弁(松本進吾土木部長)

 現在のところ、岡東中央公園以外の公園では、受動喫煙防止対策の取り組みについては予定しておりません。しかし、健康増進法の改正に伴い、今後、発出される政省令の内容を踏まえ、対策を講じてまいりたいと考えております。

枚方市立総合体育館

喫煙所が撤去され、各所に敷地内禁煙の旨、掲出がなされていた:

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枚方市立総合体育館出入口の禁煙の掲出
『※この場所で喫煙している団体や大会参加者がいる場合、代表者に注意し是正していただきます。』と警告もなされている:
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枚方市立総合体育館の禁煙の掲出
是正措置は本来は施設管理者の責任であるはずだが、どういうことだろうか。2階出入口手前のグレーチング下に吸い殻が多数投棄されていた。いつからあるかは分からないが、違反喫煙を誘発しうる。再発防止のために清掃すべきだろう:
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枚方市立総合体育館2階出入口前のグレーチング下に投棄された吸い殻

枚方市立総合福祉会館ラポールひらかた

敷地内全面禁煙と掲出がある:

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ラポールひらかたの出入口と敷地内全面禁煙の掲出
敷地の外周、府道と接する場所に吸い殻が落ちていた。ここにも敷地内全面禁煙との掲出があるが、規範意識が鈍麻した喫煙者によるものか:
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ラポールひらかた敷地内に投棄された吸い殻

渚市民体育館

館内各所に敷地内禁煙の旨、掲出されていた:

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渚市民体育館の敷地内禁煙の掲出
気になったのは、ポストに

全面禁煙
そこのあなた!
ここはまだ敷地内です!!

なる貼り紙があったことだ:

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渚市民体育館を門から見た様子
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全面禁煙 そこのあなた! ここはまだ敷地内です!!
これでは敷地から一歩でも外に出れば喫煙してもよい、との誤解を招かないか?何度も述べるが、改正健康増進法25条の3第1項は屋外であろうと受動喫煙を生じさせない配慮を喫煙者に課すのだから、敷地内禁煙を徹底させるのは当然としても、あまり適切な表現とは思えない。

生涯学習市民センター

先に扱った図書館の他、生涯学習市民センターも敷地内禁煙の対象だ。議会では野口議員が質問で取り上げ、敷地内禁煙なる旨答弁があった:
2018-12-17平成30年12月定例月議会(第2日)
野口光男議員

 喫煙問題について、伺います。
 市役所については敷地内禁煙になるということですけれども、子どもたちが利用する図書館や生涯学習市民センターなど、市が管理する施設、建物についてはどのように考えているのか、見解をお伺いします。

答弁(水野裕一総務部長)

 健康増進法の改正に伴いまして、多数の方が利用される行政機関では、望まない受動喫煙の防止を図るため、来年夏ごろから原則として敷地内禁煙となりますが、本市におきましては、先行いたしまして、来年4月から市施設の敷地内禁煙に取り組んでまいります。
 子どもたちが利用する図書館や生涯学習市民センターなどにつきましても、同様に考えております

牧野生涯学習市民センター(牧野図書館)と、その北分館もそれぞれ敷地内禁煙となっていた:

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牧野生涯学習市民センターの敷地内禁煙の掲出
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牧野生涯学習市民センター北分館の敷地内禁煙の掲出

枚方市メセナひらかた会館

駐車場を含めた敷地内が禁煙である旨、掲出されていた:

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枚方市メセナひらかた会館出入口の禁煙の掲出
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枚方市メセナひらたか会館の駐車場での禁煙の掲出

小学校

小学校は以前から敷地内禁煙であった(岩本ゆうすけ議員のブログ): 受動喫煙防止の取り組みについて | 平成29年度 議会報告 | 枚方市議会議員 岩本ゆうすけ。気になるのは氷室小学校の外周の壁に『この辺りで喫煙する場合は携帯灰皿をご持参下さい。 学校長』なる掲出があったことだ:

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氷室小学校外周の掲出
内容的に吸い殻を投棄しないよう要請するものだ。繰り返すが改正健康増進法25条の3第1項は屋外であろうと受動喫煙を生じさせない配慮を喫煙者に課し、特に子どもはタバコの煙からの保護の必要性が高いのだから、学校周囲といった通学路での喫煙は避けるべきだ。大阪府子どもの受動喫煙防止条例の前文では

子どもは社会の宝、未来への希望であり、全ての子どもたちが安心して健康的に暮らせるよう、住居、自動車等の生活空間や学校、通学路、公園、病院等の子どもの利用が想定される公共的な空間等において、受動喫煙をさせることのないよう努めることは社会全体の責務である。

と、通学路での受動喫煙防止が謳われている: http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/34373/00000000/kodomo.pdf
認識を改めるべきだ。

公民館

公民館が敷地内禁煙の対象かどうかは分からない。議会でも触れられていなかった。藤阪公民館は以前平成29年7月1日から敷地内禁煙であったことが分かった:

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藤阪公民館の外観
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藤阪公民館の禁煙の掲出
他はよく分からない。

枚方公園青少年センター

以前、灰皿撤去を要望した所、禁煙化された: muen-desire.hateblo.jp

枚方宿鍵屋資料館

以前、灰皿撤去を要望した所、禁煙化された: muen-desire.hateblo.jp

市の施設は以上だ。

枚方簡易裁判所

市の施設ではないが、駐輪場の中に喫煙所があったので、取り上げる:

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枚方簡易裁判所の駐輪場内の喫煙所
このような駐輪場内もしくは隣接また近接する喫煙所については、九州における行政相談事例『4国立大学法人受動喫煙防止対策の推進をあっせん』(http://www.soumu.go.jp/main_content/000588762.pdf) の4,5,7,8ページにおいて分煙が徹底されていない喫煙所として例示されている:
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宮崎大学の駐輪場に近接する喫煙所
これを踏まえると当然撤去されるべきだろう。