2019年世界禁煙デー in 京都 Special Event「健康増進法が改正されました!」に参加しました

概要

例年、京都禁煙推進研究会 NPO法人 京都禁煙推進研究会高台寺で開催するイベント(去年の様子: 2018年世界禁煙デーin京都 に参加しました。 - muen_desireの日記)を今年は健康増進法の改正法が一部施行されることもあり、大和浩先生を講師に招いて京都女子大学の講義室で開催。

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プログラム

ゆるキャラによるお出向かえ

ゆるキャラ4体(左からタバコマン、エコちゃん、ふじのちゃん、まゆまろ)が会場前で出向かえてくれた。まゆまろだけ幅があるため、講義室の一番前まで出て来ることが出来ず、女子学生らとのパフォーマンスに加わることが出来なかった。

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ゆるキャラ(タバコマン、エコちゃん、まゆまろ)

来賓

昨年より多くの来賓(政治家)が出席した。受動喫煙防止に関心がある、ということなのだろう。議会での発言を見てみたい。

首長

  • 安田 守(やすだ まもる) 向日市長・・・向日市は2019年4月1日から各公共施設が敷地内禁煙。
  • 前川 光(まえかわ ひかる) 大山崎町

京都府

  • 田中 健志(たなか けんじ)・・・薬物乱用に関心があるようだ。タバコはゲートウェイドラッグ(他の薬物への入口)となりうるので未成年者の喫煙防止は重要だ。平成28年文化・教育常任委員会12月定例会2日目の発言:

私の周りでも「大麻はたばこよりも害がない」とおっしゃる方がいまだにいらっしゃるんです。いや、本当にそうなんです。そういう意味では、認識がまだまだ甘いと思うんですね。だから、子どもたちももちろんですけれども、子どもたちを通じて大人にもそういう認識をしていただけるような取り組みはぜひお願いしておきたいと思います。

  • 磯野 勝(いその まさる)・・・飲食店での完全禁煙を目指す努力をするよう要望。平成30年決算特別委員会 書面審査 健康福祉部:

京都府受動喫煙防止対策の目標としては、大目標ですけれども、京都府内で受動喫煙を受ける機会をゼロにするという目標を立てられているわけです。そうなると、この国の法律と若干乖離というか賄えない部分も出てくるのかなという危惧があるわけですね。もちろん100%というのはあくまで目標ですけれども、何とか100%にする努力は今後されると思うんですけれども、その辺のお考えをお聞かせ願いたいなと思います。

京都市

  • 江村 理紗(えむら りさ)
  • 玉本 なるみ(たまもと なるみ)・・・分煙ではなく完全禁煙を求める発言。今回のイベントを共催したNPOの京都禁煙推進研究会への言及もしばしば見られる。受動喫煙防止に理解が深そうだ。平成30年12月教育福祉委員会(第19回)12月19日-19号:

今回,京都受動喫煙防止対策事業者連絡協議会の取組があるということもお聞きしたので改めて議論しましたけども,やはり今後オリンピックだとか,また観光客の方に京都に来てもらって,本当に京都の良さを知ってもらおうというような取組をすることに,もう取り組んでおられますけど,そこでやっぱり分煙のお店が結構多かったとかじゃなくて,完全禁煙されているお店が多くて過ごしやすかったというようなことにしていくべきだと私は思いますし,それを進めるのにはどうしたらいいのかというところで言うと,分煙ではなく完全禁煙を進めましょうという条例が必要ではないかなという風にも思いますので,是非検討していただくことを求めて終わりたいと思います。

  • 中野 洋一(なかの よういち)・・・病院敷地外(過去には民泊ゲストハウス周辺)での喫煙撲滅について要望していた。平成30年9月予算特別委員会第2分科会(第2回)09月20日-02号:

この病院敷地内全面禁煙というのは,病院にとってはいいかもしれませんが,逆にその周辺の方にとってみれば,平たく言えばいい迷惑という状況が発生しかねないというところだと思います。病院の方は健康になっても周辺の方は受動喫煙でがんになってもいいのかという風に言われかねない部分もありますし,当然,先ほどもおっしゃられた入院の条件,受診の条件が禁煙であるという部分は十分理解しますし,あわせて,その職員さん,お医者さん,看護師さん,そういった方々も,この病院で勤務する限りは絶対に禁煙してほしいと,禁煙しなければならないという風な形で,まずは市立病院周辺では一切その周辺にお住まいの方には受動喫煙の被害は与えないと,こういう風な覚悟を持って取り組む,そしてそのうえで,それ以外の私立,国立含めての病院に対して,周辺の住民に対して受動喫煙をさせないように徹底して指導するというところが大事だと思いますし,いわゆる率先垂範する部分でその指導の効き目も出てくると思いますので,是非そこについては,改めて市立病院を抱えている京都市として病院敷地内全面禁煙を進めているんであれば,病院敷地外も全面禁煙になるような,受動喫煙させないような環境を構築するということが求められていると思いますので,最後,局長の覚悟を聞かせていただいて終わりたいと思います。

  • 河合 葉子(かわい ようこ)・・・10年以上過去の話だが、路上喫煙禁止条例の成立に賛成討論した。その後、職員の路上喫煙についての質問がある。平成19年9月文教委員会(第9回) 09月28日-09号:

この河原町の先には丁度市役所があります。庁舎内禁煙で喫煙室のみで皆さん喫煙されているわけですけれども,最近は,私,余り見掛けなくなったかなと思うんですが,庁舎を出られた途端にたばこを吸われてそのまま歩かれる職員の方に遭遇することがよくありました。そういう意味では,京都市が率先してやっていることなので,やはり市役所の周りは,市民の皆さんに課せるかどうかという問題で言うたら,また,その1,000人の通行者がある場合で言う,ここで言うたらこの辺りはどうなのかというのはちょっと私,よく分かりませんが,市役所の周りは,少なくとも路上で職員がたばこを吸いながら歩いているというようなことがないようにしなかったら,市民にまず周知していくことができないのではないかなという風に思っているんです。

向日市

  • 村田 光隆(むらた みつたか)
  • 長尾 美矢子(ながお みやこ)・・・受動喫煙防止を求めるものの敷地内での喫煙は認める姿勢。平成29年 第2回定例会(第2号 6月13日)の発言:

それから、受動喫煙についてでありますが、吸われる方は高額納税者でもありますし、吸われる方も、また吸われない方も、ともに居心地のいい空間ができることが大事かなというふうに思っておりますので、喫煙所についても、決してその隅っこに追いやるということよりも、その受動喫煙の被害が起きないような形で、吸われる場所をしっかりと確保していただけるような取り組みも今後しっかり進めていただけたらなと思っております。なので、これから決まっていく新庁舎や、また複合施設などについても、館内禁煙ということで、具体的なことはこれからだと思うんですけれども、しっかりと進めていただきたいなというふうに、これは要望をしておきます。

  • 和島 一行(わじまかずゆき)
  • 天野 俊宏(あまの としひろ)・・・未成年の喫煙、薬物乱用防止に関心があるようだ。平成27年 第4回定例会(第2号12月 7日)の発言:

大麻や危険ドラッグなどが想像以上に、高校生や未成年者、そして若年層に広がっている可能性があると言われておりますけれども、本市の小中学校においてのたばこ、防煙教室ですね、あるいは危険ドラッグ、大麻等の薬物乱用防止の指導の状況についてはどのようにされておりますでしょうか、お伺いをいたします。

大山崎町

  • 岸 孝雄(きし たかお) ※会場近くまで来たものの急用のため欠席
  • 山中 一成(やまなか いっせい)

祝電

国会議員

  • 木村 弥生(きむら やよい)
  • 竹内 譲(たけうち ゆずる)
  • 泉 健太(いずみ けんた)

京都府

  • 能勢 昌博(のせまさひろ)・・・タバコ税の重要性を強調していた。平成28年予算特別委員会当初予算審査小委員会 書面審査 総務部での発言:

 それから、たばこ税であります。たばこ税も今年度一応予算的には3,900万円の減ということです。たばこ税も全部で27億円という大変大きな額でありますし、これは何よりも自主財源でありますので、各都道府県、市町村にとって大変ありがたい税金であります。その一方で、御存じのとおりだんだん禁煙というような流れになってきていますが、今後の推移をどういうふうに予測されているか、お聞かせを願いたいと思います。

京都市

  • 大道 義知(だいどう よしとも)・・・門川大作市長がヘビースモーカーであったと指摘。自身は過去喫煙者。家庭内での受動喫煙防止や健康増進法における屋内禁煙と京都市の路上喫煙禁止条例との整合性について質疑。基本姿勢がよく分からない。平成31年3月予算特別委員会(第5回)03月13日-05号

私が議員にならせていただきましたとき,丁度現市長は教育委員会の確か総務部長ぐらいだったんじゃないかと思います。極めてヘビースモーカーの方だったなという印象がございまして,今どのような状況になっているのか私も存じませんけれども,今回,受動喫煙でアンケートも採られる中で,取組が強化されることになりました。

そうした中で,今回相談窓口,それから家庭,家族での受動喫煙の教育と言いますか啓発,そして,さらには飲食店への様々な取組ということになるわけございますけれども,是非とも頑張っていただきたいんですが,局別質疑では担当部局の所で質疑を行ったんですけど,実は第1分科会に関係する,例えば文化市民局のいわゆる路上喫煙の問題との整合性も要ります。

質疑の中でも私,毎月22日は禁煙の日と,白鳥が2,2で,吸わん吸わんということで,22日が禁煙の日と言われてますもんですから,世界禁煙デーの5月31日とは別に,やっぱりそういう啓発をどんどん京都市としてやるべきではないかということも申し上げました。

どこまでも,吸う権利もありますので,私は吸ってらっしゃる方について文句を言ってませんし,私も昔は吸っておりましたから。ただ,今はそういうことで吸っておりませんけれども,そういう意味できちっとバランスの取れた取組をお願いをしたいという風に思います。

特別講演「健康増進法の改正にともなう受動喫煙防止対策」

タバコ対策の専門家、大和 浩(やまと ひろし)先生(ホームページ: わが国の今後の喫煙対策と受動喫煙対策の方向性とその推進に関する研究)による講演。厚生科学審議会 (たばこの健康影響評価専門委員会) 厚生科学審議会 (たばこの健康影響評価専門委員会)|厚生労働省 に委員として参加し、屋外や屋内の喫煙所が満たすべき要件について主に粉塵計を用いた研究結果を元に発言をしている。

タバコ対策を研究するきっかけ、法規制の必要性、日本や世界における受動喫煙防止対策の現状、日本で受動喫煙防止が進まない原因、タバコ産業による介入について、加熱式タバコによる受動喫煙など盛り沢山の内容。
使用されたスライドがここからダウンロード出来る(京都禁煙推進研究会「改正健康増進法について」): slides

発言のメモ:

  • 2024年の再改正の目標は、居酒屋と国会の禁煙(国会は行政機関でなく立法機関のため改正法の対象外。国会議員に喫煙者が多いため抜け穴となった。)
  • "フロア分煙"は効果がない。
  • JTのプレスリリース「~カフェ非喫煙エリアにおいて粉じん・ニコチン等の濃度はほとんど変わらず~加熱式たばこ使用時の空気環境影響調査結果について」 ~カフェ非喫煙エリアにおいて粉じん・ニコチン等の濃度はほとんど変わらず~加熱式たばこ使用時の空気環境影響調査結果について | JTウェブサイト に対する指摘: エアロゾルは室温で気化するので粉塵計では計測出来ないことは明らか、ニコチン濃度も計測を重ねれば統計的に有意に濃度上昇を示せるはず。実験を監修した嵐谷奎一氏は長年JTが設立した喫煙化学研究財団から助成金を受領。喫煙化学研究財団は領収書が不要な使い勝手のよい資金を研究者に提供し、JTに有利な研究成果が得られるよう誘導し、科学が歪められている。資金提供を受けた研究者の名前は非公開。自らも1997年から3年間150万円の提供を受けていた。
  • 屋外の喫煙所(公衆煙所)の足元の隙間は3~5cm が適切。
  • 大谷本廟西本願寺の喫煙所から受動喫煙が生じていることを計測により明らかにした。今後はこういった場所も禁煙とすべき。
  • いつか全面禁煙が実現することを夢見て、一歩一歩この「道」を進もう。心の師匠、アントニオ猪木のスピーチを引用し、締め括った。長女、次女を彼に因み命名する程心酔している。

この道を行けば どうなるものか 危ぶむなかれ。
危ぶめば道はなし。
踏みだせば その一足が道となる。
迷わずにゆけよ ゆけばわかる。

京都女子大学健康サークル ラ・サンテとゆるキャラによるパフォーマンス

禁煙ソング「禁煙すわん君」

禁煙ソング「禁煙すわん君」を流し、ゆるキャラと女子学生が振り付けを演じた。
www.youtube.com

タバコクイズ

4問出題された。

  1. タバコの煙に含まれる化学物質の種類(A. 5,300種類)
  2. 日本での受動喫煙による年間の死亡者数(A. 15,000人)
  3. 受動喫煙健康被害を初めて報告した国(A. 日本)
  4. 次のマスコット(タバコの煙の化身)の名称(A. けむいモン)

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けむいモン

各地での取り組みの報告

京都府での取り組み

年代別喫煙率、年齢調整死亡率、がん検診インターネット調査結果(府民対象)、受動喫煙防止対策に関するインターネット結果(飲食店対象)、第2期京都府がん対策推進計画、京都府がん対策推進府民会議、京都府受動喫煙防止憲章、世界禁煙デーでのイベント・街頭啓発、防煙対策、禁煙外来講習会、禁煙支援パンフレットについて説明があった。

京都府受動喫煙防止憲章(京都府受動喫煙防止憲章/京都府ホームページ)は京都府がん対策推進府民会議たばこ対策部会(京都府がん対策推進府民会議たばこ対策部会/京都府ホームページ)で策定された。こちらを健康増進法の改正を受け、改正したとの説明があった。

今回の報告にはなかったが健康増進法京都府受動喫煙防止憲章の改正に伴ない、京都府京都市そして京都受動喫煙防止対策事業者連絡協議会との三者受動喫煙防止対策を推進するための連携協定を2018年12月に締結した: 京都市:受動喫煙防止対策を推進するための連携協定の締結について
この京都受動喫煙防止対策事業者連絡協議会には、京都たばこ商業協同組合が参加している。つまり、タバコ産業の関連団体が参加している。全くおかしな話だ。これでは受動喫煙防止を推進出来るわけがない。

京都市での取り組み

喫煙率の推移の他、「健康長寿・笑顔のまち・京都推進プラン」(京都市:健康長寿・笑顔のまち・京都推進プラン)におけるタバコ対策(受動喫煙の防止、未成年者の喫煙防止、妊産婦の喫煙防止、成人の喫煙率の減少)について説明があった。
現在、市内各所の広報板に「ストップ!受動喫煙」と銘打ったポスターが掲出されている:

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ストップ!受動喫煙のポスター