奈良市の所有・管理する施設の大部分が敷地内禁煙に(2019年7月1日)
奈良市の所有・管理する施設の大部分が2019年7月1日より敷地内禁煙となった。改正健康増進法への対応にあたり、市の施設を全て第一種施設と同等に取り扱うこととしたため。
仲川市長の意向を受けた措置。以前より受動喫煙防止に前向きな発言をしている。
市役所本庁舎だけでなく、福祉センターや公民館、地域ふれあい会館、スポーツ施設なども敷地内禁煙となった。
改正健康増進法に対する奈良市本庁舎等、市が所有・管理する施設での対応方針について
2019年5月29日に医療政策課により起案、6月4日に市長決裁を経た文書(案)がこちら: 改正健康増進法が2019年7月1日に一部施行されるにあたり、市の所有・管理する施設での対応方針を定めるもの。市の方針を書き起したものがこちら:
<<市の方針>>
受動喫煙が他人に与える健康影響と、喫煙者が一定程度いる現状を踏まえ、「望まない受動喫煙」を防止するため、奈良市が所有・管理する全ての施設について、改正健康増進法で規定する第一種施設と同等に取り扱うこととし、原則敷地内全面禁煙とする。
ただし、これまでの慣行上、比較的緩やかな喫煙習慣が認められる施設については、当面の緩和措置として改正健康増進法で定められた特定屋外喫煙場所を設けることができることとする。
第一種施設(特定施設)の定義
2019年7月1日より改正健康増進法が一部施行され、行政機関の庁舎のような第1種施設(特定施設)は原則敷地内禁煙となった。
ただ、全ての行政機関の庁舎が規制対象となるわけでなく、『行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る』という条件が付けられていた。
奈良市の対応方針は、この限定条件を外し対象を広げ、受動喫煙防止を徹底しようというもの。起案した医療政策課は仲川市長の意向と言っていた。
健康増進法より抜粋:
(定義)
第二十五条の四
四 特定施設 多数の者が利用する施設のうち、次に掲げるものをいう。
ロ 国及び地方公共団体の行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る。)
令和元年7月1日から敷地内に特定屋外喫煙場所を設置できる施設(案)
次の5部局の20施設が屋外に喫煙場所を設置できることとなった: 医療政策課が各部局より情報収集し、作成した。食事処「つきがせ」や道の駅の「針テラス」といった職員だけでなく市民も利用する施設の他、24時間の勤務体制を敷いており夜勤のある消防局の施設等が含まれる。
これら20施設以外は全て敷地内禁煙ということだ。市議会でもそのように答弁があった。
奈良市 令和元年6月定例会 06月14日-03号より抜粋:
◎健康医療部長(佐藤敏行君)
健康増進法の改正に伴い、望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、禁煙等の措置について定められたところです。
これにより、公共的な施設においては敷地内禁煙を実施することとなり、本市でも7月1日から本庁舎、行政センター、出張所、福祉センター等の市が所有、管理する施設において、原則敷地内全面禁煙を実施することといたしました。また、先般、近鉄奈良駅、JR奈良駅前においては、路上喫煙防止条例に基づき設置されていた喫煙場所、灰皿を撤去したところであります。
今回の方針とは関係ないが、答弁にある近鉄・JR奈良駅前の喫煙所撤去についてはこちらにまとめた:
muen-desire.hateblo.jp
防災センター
施設一覧に含まれているが、「V 消防局」の「1 防災センター」は以前見た時は出入口に「敷地内禁煙」とあった:
湖畔の里つきがせ
「I 市民部」の「2 湖畔の里 つきがせ」は2018年6月の時点では自販機の横に喫煙所があった:
仲川 元庸(なかがわ もとのぶ) 市長
通称、仲川 げん。受動喫煙防止に関心が高いようだ。2013年10月1日より本庁舎職員は勤務時間中は禁煙となった。『敷地内禁煙に向けて動きます』ともツイートしていた:
現在奈良市役所は建物内禁煙ですが、2か所の入口に残る灰皿は「廃止すべし」とご指摘を頂きました。厳密にはタバコを吸いながら来庁した市民が、入館する際の「火消し場」という位置づけですが、実態としてはどうみても喫煙所。遅ればせながら、敷地内禁煙に向けて動きます。
— 仲川げん(奈良市長) (@nakagawagen) July 1, 2013
これに関連して『タバコ税収ゼロでも構わない』との発言もあった:
www.sankei.com
喫煙は超過医療費等の経済損失の方が税収を上回るので、理にかなった発言だ。
世界禁煙デー(5月31日)の啓発イベントにも参加:
世界禁煙デー、奈良市保健所では奈良市医師会と共にザ・ビッグエクストラ大安寺店にて啓発活動を行いました。禁煙マラソンで有名な高橋裕子先生による卒煙指導も。奈良県は全国一喫煙率が低いですが、市内の地区別に見ると喫煙率に約4倍の差があります。地域特性に応じた公衆衛生が益々重要に。 pic.twitter.com/s1gtSb2aGB
— 仲川げん(奈良市長) (@nakagawagen) May 31, 2019
敷地内禁煙となった施設
市の中心部について敷地内禁煙が実施された7月1日前後の様子を見る。
奈良市役所
正面玄関に「敷地内禁煙」と掲示されていた:
奈良市民だより令和元年7月号の30ページに周知記事があった:
しかし正面玄関前広場でタクシー運転手が喫煙していた:
総務課に指摘したところ、この運転手が所属する奈良個人タクシー協同組合に対し次の対応をした、との回答を得た:
奈良市役所本庁舎の敷地内は庁舎正面玄関前広場、庁舎北側駐車場を含めて全面禁煙であることと、敷地内に停車中のタクシー内であっても全面禁煙であることなどを伝え、今後、奈良市役所敷地内での全面禁煙を徹底し喫煙することがないよう指導と協力の要請を行いました。
なら工藝館
指定管理者は勤労者総合福祉センターと同じ。
灰皿は撤去され、敷地内禁煙のお知らせが掲示してあった:
以前は駐輪場にあった:
それより以前は出入口の横にあった:
muen-desire.hateblo.jp
若草公民館
地域の小規模な公民館も全てが敷地内禁煙となった。
例として若草公民館は出入口のすぐ脇に喫煙所があった:
撤去され、敷地内全面禁煙のお知らせが掲示されていた:
生涯学習センター、中部公民館、若草公民館の他に21施設あるようだ。
地域ふれあい会館
済美、都跡、佐保川地域ふれあい会館はそれぞれ出入口のすぐ横に喫煙所があった:
済美と都跡はそれぞれ灰皿が撤去され、これまで見てきたような敷地内全面禁煙のお知らせが掲出されていた。
しかし、佐保川地域ふれあい会館には9月になっても喫煙所が設置してあった: 「喫煙場所はこちら」と案内の掲示まである。方針に従って撤去されなければいけないはずだ。現在どうなっているかは分からない。
他にも14施設あるようだ。
スポーツ施設
スポーツ振興課の所管するスポーツ施設は全て敷地内禁煙となった:
ならでんアリーナ(奈良市中央体育館)などのスポーツ施設は、令和元年7月1日(月)より、建物や駐車場を含む敷地内すべてを禁煙とする「敷地内禁煙」を実施しています。